旅行業界の矜持— 石川と福井旅協共栄会、211人参加し合同総会
福井県旅行業協会共栄会(前田健二会長=美松)と石川県旅行業協会共栄会(萬谷正幸会長=瑠璃光)の合同総会がこのほど、石川県金沢市の金沢東急ホテルで開かれた。211人が出席した。
総会では福旅協、石旅協共栄会のいずれも会員増強の推進と受入会員への集中送客、情報宣伝、情報交換などを行うことを決めた。
前田会長は「北陸新幹線敦賀延伸が23年春から1年遅れの見通しですが、新幹線敦賀延伸に向けて一致団結して取り組むことが福旅協としての礎になると思っています。今はコロナ禍の大変な時期を乗り切りましょう」と呼びかけた。
萬谷会長は「2020年はオリンピックが開かれ、多くのインバウンドが日本に訪れて我々の業界にとって飛躍できる年だと思っていました。ところが2月から大変な1年が始まり、一気に景色が変わってしまった」と語り、その一例として、ビジネス路線として強気な営業だったJR東海が観光レジャーに目を向け出したことを紹介した。
例年発表する地区別旅館等送客実績(19年10月−20年9月)では総数で福旅協が14万908人)、石旅協が18万4124人だった。
総会終了後は三浦雅生弁護士が「Withコロナ時代における観光業界のあり方」と題し講演。三浦さんは「『安全で安心の旅行』といった表現をよく使いますが、あまり強調して使わない方がいい」と語った。
その理由として「安全は『科学的根拠に基づく客観的指標』で明確なものではなく、安心も『旅行者の主観的指標』であるため、安心の範囲は人によって異なります。あまり安全と安心を強調すると、何らかの事故が発生し裁判になった場合、不利になるケースがあるのでマニュアルに載っている以上の発言は控えてほしい」と伝えた。
具体例として北海道ツアーで、添乗員がコロナ感染者のチェックシートを見落としたことを紹介した。「現場にいる添乗員は忙しく、40人の観光客のチェックシートを確認できる余裕はないと思います。旅行業のマニュアルにはチェックシートを書かせなさい、という項目はありませんので、自ら首を絞めるようなことはしなくていい。お客さんはガイドラインがあることや内容は知らないのですから、旅行業、宿泊業いずれもガイドラインをきちんと守って対応させていただいています、とだけ伝えればいいと思います」と話した。
このあと開かれた意見交換会では、コロナ禍のなか総会を開くべきかどうかという話も出たが、消費者に旅行を勧める旅行業団体は中止にするのではなく、問題なく開催することが大事だという結論に至ったと報告された。
これを受けて金沢市の山野之義市長はあいさつで「金沢市内でもっとも集客する金沢21世紀美術館は、多くの来館者を迎えてもコロナ感染者は増えていません。Go Toトラベルキャンペーンで感染者が増えるので、キャンペーンを止めろという声がありますが、経済活動を止めてどうするのでしょう。経済というより社会をきちんと動かすことが大事で、油断することなくコロナと付き合っていくべきです」と訴えていた。
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