ANTA新たな船出
1992年から33年間、全国旅行業協会(ANTA)の会長を務めた二階俊博氏が退任し、名誉会長に就任した。初代の田辺邦男氏が2年、2代目の江藤智氏が14年、3代目の木村睦男氏が2年、4代目の梶原清氏が9年の任期からすると二階氏の33年は稀有の長さだった。
二階氏が会長に就任した92年はバブル経済が崩壊し、インバウンドも今より一桁異なるわずかな数だった。ものづくり立国や技術立国と言われ、観光立国のかけらもなかった時代から、二階氏は33年の時を経て、観光産業を日本の基幹産業にすべく尽力し、観光庁の設立にも多大に関与してきた。いわば観光立国の生みの親の一人だと言える。
パンデミックや戦乱が頻発し、二階氏がつねに口にしてきた「観光産業は平和産業である」ということを今強く実感する。そしてANTA総会の退任のあいさつで「観光は崇高な産業を担っている」「世の中を観光の光で照らす」といった言葉を投げかけ、観光産業全体を俯瞰したメッセージも残した。
ANTAの1―5代までの会長はすべて政治家で、会員から会長が誕生したのは6代目にあたる近藤幸二新会長が初めてだ。二階氏の築いた功績を基に、観光立国と観光産業の発展を民の力でけん引するANTAの新たな船出に期待したい。
(トラベルニュースat 25年7月10日号)
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