構造改革奏功、旅行外事業好調で最終利益284億6千万円 JTB・21年度連結決算
JTB(山北栄二郎社長)は5月27日、2021年度の連結決算を発表した。売上高は前年比56・5%増の5823億2300万円、営業損失は人件費削減を中心とする構造改革で前年から約927億円圧縮して48億8千万円、経常利益は38億6600万円を計上。純利益は284億6100万円となり、本社ビルや株式の売却などもあり、黒字への転換に成功した。
21年度は、コロナ禍の影響が長引き旅行事業は引き続き低迷。売上高は国内旅行が同14・5%増の1749億1700万円とやや盛り返したものの、海外旅行は同90・5%減の21億4100万円と需要の回復は今期もならず。訪日旅行は同686・8%増の301億3300万円とやや回復したが、グローバル旅行は同67・9%減の37億4900万円に。旅行事業全体では同10・6%増の2109億4千万円にとどまった。
一方で、旅行以外の事業は同104・7%増の3713億8300万円を売り上げ、売上高全体の半数以上を占め、経営を支えた。地域でのデジタル化支援や観光地整備・運営支援などエリアソリューション事業、東京オリパラ関連事業やコロナ関連事業などBPOサービスの受託などビジネスソリューション事業の取り組みを強化し、取り扱いが増加した。
また、構造改革により、関連会社は20年度末から27社減の130社、従業員数も20年度末から4275人減の1万9510人となるなど縮減を断行。コスト削減も黒字転換につながった。
山北社長は「本社ビルなど固定資産の売却で443億円の特別利益などもあり、経費構造改革の第一フェーズで黒字化を達成できた。22―24年度の第2フェーズでは回復と成長をテーマに、旅行マーケットの回復を最大限収益化する」と意気込みを示した。
22年度については、コロナ禍の落ち着きから旅行市場はコロナ前の19年度比で国内旅行が90―100%、海外・訪日旅行は20―30%まで人流が回復すると想定。旅行商品・サービスの売上総利益は19年度比35・7%減まで戻ることを見込む。旅行以外の事業についても19年度比83・7%増を売り上げることを想定し、営業利益は63億円、最終利益は黒字を目指す。
山北社長は「国内旅行の需要回復を取り込み、これに海外旅行、訪日旅行で売上総利益1500億円を想定しています。旅行以外の分野の成長の加速と旅行分野の回復を両立させたい」とした。
このうちインバウンドについては政府が6月10日から観光目的旅行の受け入れ再開を決めたこともあり、「業績予想の上振れに大きな期待を持っています。政府の発表を受け昨夜から海外からの問い合わせが殺到しました。オイル高、(ロシアのウクライナ侵攻による)航空機のヨーロッパ迂回ルート利用などマイナス要素もありますが、円安の追い風もあり欧米豪は2023年度の頭には2019年レベルまで回復できるのでは」と期待した。
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