今後の中小旅行業の方向性は 滋旅協が初の座談会、協会主導し会員間の連携を
「今後の中小旅行業の方向性について」をテーマとする座談会を一般社団法人滋賀県旅行業協会(北川宏会長=旅助)が7月12日に初めて開いた。会場の近江八幡市のホテルニューオウミには会員21社が出席し、それぞれ事業の課題やこれからの旅行業に対する考えを熱心に語った。
矢野充専務理事(長浜観光)が進行役を務め、参加旅行会社に意見を求めた。
【インバウンドについて】
かつてない規模でインバウンドが訪れているが、中小旅行会社の多くは訪日客の受け入れや商品化に取り組めていない。複数の会員からあがった「インバウンド対応や、韓国などのランドオペレーターとのつきあい方がわからない」「インバウンド対応を考えないと旅行業を続けることはむずかしい」に対して、海外業務を積極的に手掛ける会員から「富裕層を持つランドオペレーターとの取引を持つために、すでにインバウンドを手掛けている会員と協力し、ともに利益を得る態勢をつくる」といった協業を促す声が挙がった。
【旅行業の現状について】
コミッション率が低い旅行業にとって、キャッシュレス化に伴うカード決済が増え、利益が目減りしてしまう。「仕入れを工夫し利益率を上げることを考えなくてはいけませんし、ネットエージェントをうまく活用するのも方法の一つだと思います」。カウンター店舗に来客した客がその場で宿泊施設の料金を比較する。「料金で判断されないような企画力を持つことの必要性を実感しています」など、会員同士でやり取りしていた。
【旅行業協会の役割について】
観光が地方創生、地域活性化の有効策とされ、中小旅行会社も地方自治体との関わりが求められるようになってきた。ただ、行政勤務の経験がある会員は「行政は大手旅行会社しか見ておらず、仕事も大手に任せることが多いのが現状です。知事承認で旅行業を営む我々ですが、個々の事業者にはなかなか仕事がもらえません」とし、「これからの旅行業協会は行政に期待される存在になって、滋賀県の観光をけん引していくという気概を持ってほしい」。旅行業協会の存在意義を県に示すことが、会員会社を守ることになると訴えていた。
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北川会長は「昨年度79社の会員のうち8社が退会し、この状況が続くと組織運営が厳しくなるとの危機感から、会員の皆さんと本音で話し合う座談会を今年の総会で提案させていただいた。総会は17社の出席でしたが本日は21社にお越しいただき、皆さんの熱心さが伝わってきました」。「今回の座談会は手探りで始めましたが、様々なご意見が出て思った以上の成果があったように思います。同業者が何を思い、どのようなことをしているのか、それを知ることが大事であると改めて感じました。本日集まっていただいた21人を中心に協会運営や旅行業の生き残り策を話し合えば、活路を広げられると思います。これからも座談会は継続していきたい」と総括した。
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