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海外復活、国内ラーケーション推進 JATA・定時総会

25/06/27

日本旅行業協会(JATA、1171会員)は6月18日、第69回定時総会を東京都千代田区の経団連会館で開いた。総会には147会員が出席し、髙橋広行会長(JTB取締役会長)が海外旅行復活への挑戦や国内でのラーケーションの推進について訴えた。

冒頭のあいさつで髙橋会長は、海外旅行の完全な復活には至っていない現状に対して忸怩たる思いを示した。海外旅行の復活に向けては、円安や物価高といった課題があるものの、社会的意義を伴った制度改正や支援策を国や自治体に働きかけること、会員が自ら市場を動かしていく努力の必要性を説いた。

また、政府が策定を進める「第5次観光立国推進基本計画」への提言として、パスポート申請手数料の抜本的見直し、学校教育での国際交流の必修化について働きかけているとした(別掲参照)。髙橋会長は「パスポート取得率は先進国最低水準の17%台まで落ち込んでいる。取得が海外への関心を高め、国際的な競争力の底上げにつながる」と呼びかけた。若者に向けては「JATA海外旅行アンバサダー」として岩田剛典さんを起用し、海外旅行促進プロジェクト「もっと!海外へ」を展開。YouTube公式チャンネルで公開する岩田さん出演の動画は、1カ月で約50万再生を達成している。

さらに、国内旅行や訪日旅行の課題についても触れ、国内旅行では平日旅行の普及や分散化に向けて、学校外での体験や学びを目的として休暇を取得する「ラーケーション」のさらなる普及を呼び掛けた。全国旅行業協会(ANTA)や日本観光協会とともに知事会や教育委員会に要望を提出し、全国6県で導入の具体化が行われていることも紹介した。訪日旅行では、白バス、白タク、ホテル客室の転売といった不正行為改善、高付加価値に向けたアドベンチャートラベルのガイド育成などを推進していくことを語った。

最後に、活動の前提となるコンプライアンスについて言及。「日々の積み上げが、社会から信頼され、応援される企業と業界を作る」と、再度の徹底を呼び掛けた。

日本旅行業協会

髙橋会長

来賓としてあいさつした観光庁の秡川直也長官は、インバウンドの勢いが増していることに触れ、5月の訪日外国人客数が前年同月比で約25%増の過去最高だったことを報告。秡川長官は「このまま成長が続けば、11月には4千万人を突破する。観光には勢いがあり、霞が関でも注目度は高い。アウトバウンドにも注力しながら、この勢いをさらに一段、二段と上げていく」と話した。

2025年度事業では、レジリエントな組織作りと旅行業の未来の開拓を年度テーマに掲げ①会員会社の経営強化②適正な運営③協会の安定運営④人材戦略と労働環境改善⑤商環境の変化への対応⑥DX化と協調共創による生産性向上⑦情報発信、並びに渉外機能強化⑧持続可能な観光の実現⑨高付加価値化、旅行の質の向上―に取り組むことを確認。経営課題への対応やDXに関するセミナーや、コンプライアンス関連の情報発信強化、将来人材の育成などを実施する。

任期中の役員の辞任に伴う役員改選も行われ、理事に名鉄観光サービスの岩切道郎社長など4人の新役員が選任された。

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