大阪を好きになる空間を持つ宿「ARCHITEKTON—the villa Tennoji—」 らせん階段、高級浴槽…宿主のこだわり詰まる
猫がゴロゴロしていた。見知らぬおばちゃんが話しかけてきた。一世風靡した漫画「じゃりン子チエ」そのまんまの下町。そこに、ガリバリウム鋼板で覆われ異彩を放つ建物があった。かと言って、周囲のまち並みと違和感はない。貸別荘であり、一棟貸しの宿「ARCHITEKTON(アルキテクトン)−the villa Tennoji−」という。
宿を経営する山田有生さんはこう話す。「どこに泊まるかではなく、誰と泊まるか。そのメンバーと泊まるのは一生に一度のことかもしれない…だからこそ、今までにない空間での体験を提供したいと思ったんです」。2・5階建て約100平方メートルには、そのこだわりが詰まっている。それに真正面から真摯にかつ面白がってくれた建築家、狭小空間を最大化する大工との協働作業がこの空間を実現させた。
その中に一歩入ると、機能的なキッチンとリビングがあって、備え付けのソファに座ると最上階までの吹き抜けを貫くらせん階段が目を引く。階段の上部から日の光が入り、建物全体に注ぐ。なんだか良いことに巡り合いそうなスパイラル。山田さんの狙いは成功している。

宿のシンボルらせん階段。
天井から届く日の光が階段を上る意欲を高める
中2階と2階にベッドルーム。ベッドに寝転がるとその目線の高さに合わせて小窓が。大坂の起こりとされている硬質な上町台地と、もとは海だった平野の境い目に建つ“地力”を空間に引き込もうとする演出かな、なんてブラタモリ風に想像してみる。最上階のテラスから通天閣とあべのハルカスの新旧ランドマークをちらりと望む。

2階から中2階のベッドルームをみる

宿の前からは、あべのハルカスが見える
1階に降りて風呂を見せてもらった。5つ星ホテルがこぞって導入しているドイツ製の浴槽。浴槽ありきだったので「後から壁をつくりました」という、これまた山田さんが一目ぼれしこだわったものだ。

山田さんのこだわりのドイツメーカーの浴槽
山田さんが豆からひいてくれたコーヒーをいただきながらお喋り。「宿はいろいろなものが積み重なって価値が高まると思うんです。大阪を、このまちを好きになってもらいたいし、大切な人と記憶に残る時間を過ごしていただきたいのです」。直予約とOTAが主だが、リアル旅行会社とも取引したいと考えている。その顧客に満足いただける自信はある。

2020年8月に民泊で開業し、翌2月は旅館業に。
コーヒーを用意してくれる山田さんとそんな話もした
【ARCHITEKTON】 大阪市西成区山王1—8—13。一棟貸切通常3万円(平日、税込み、清掃費別途5500円)から。定員は最大9人まで。公式URLはhttps://architekton-villa.jp/
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