【観光業界リーダー年頭所感】九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 青柳俊彦 氏
謹んで新年のお慶びを申しあげます。平素より、JR九州グループに対しまして多大なるご支援をいただき、厚く御礼申しあげます。
昨年は、「JR九州グループ中期経営計画2019―2021」の最終年度として、「コロナ禍における危機的状況を克服し、アフターコロナに向けて会社を再び成長軌道に乗せるための改革の年」にすることを目標にスタートを切りました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大により、福岡県では3度にわたる緊急事態宣言の発令が行われるなど、人流抑制による移動需要の減少および個人消費の低迷が長期化しております。その結果、誠に遺憾ながら2022年3月期の通期業績予想を下方修正いたしました。営業損益は2期連続の赤字となる見込みです。
このような状況のなか、鉄道事業においては、「安全」は最大の使命であるとの認識のもと、鉄道の安全への投資を着実に行うとともに、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じたうえで、九州新幹線全線開業10周年を記念した観光キャンペーンや、インターネット列車予約サービスのご利用拡大に向けたプロモーションを実施し、収入の確保に努めました。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うお客さまのご利用状況に合わせ、一部の割引きっぷの発売終了または価格改定を実施するとともに、新たな収益機会の獲得を目指した新幹線荷物輸送の事業を開始しました。
不動産の分野においては、拠点地域の戦略的まちづくりの一環として、昨年4月に熊本駅ビルを開業しました。商業施設の「アミュプラザくまもと」は、開業から半年で入館500万人を突破するなど、駅周辺のにぎわいづくりの核として地域に貢献しております。昨年7月には、飲食・観光・宿泊業をはじめコロナ禍で闘う店舗や団体の皆さまと一体になり地域を盛り上げ、九州の元気を発信するプロジェクト「さぁ!九州を元気に。」を始めました。
本年につきまして、新たな変異株の発生もあり依然として新型コロナウイルス感染症の収束時期は見通せない状況でありますが、ワクチン接種の広がりなどにより、感染抑制と消費活動の両立が進むことを期待しています。
とりわけ、鉄道事業においては本年秋ごろの西九州新幹線の開業を目前に控えており、地域に賑わいを取り戻す好機が訪れます。グループを挙げて開業準備に取り組むとともに、「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」や、新しいD&S列車「ふたつ星4047」、長崎駅高架下に開業する「長崎街道かもめ市場」などのプロジェクトを推進し、地域の皆さまと共に新幹線開業効果の最大化に向けて取り組んでまいります。長崎駅周辺のまちづくりの拠点となる「新長崎駅ビル」については、2023年秋の開業に向けて準備を加速してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、当社の経営環境は大きく変化しました。この先、コロナ禍からの回復は、新しい生活様式の定着や価値観の多様化などにより、業種・業態間の格差、地域による好不調の格差がより鮮明な“まだら模様”となることが予想されます。2022年度から始まる次期中期経営計画では、将来起こり得る複数のシナリオを想定し戦略に反映することで未来の不確実性に備える方針です。変化の兆しをいち早く捉え、きめ細かく改革の手を打ち、コロナ禍のピンチをチャンスに変えていきたいと考えます。
そして、2030年長期ビジョンで掲げた「安全・安心なモビリティサービスを軸に地域の特性を活かしたまちづくりを通じて九州の持続的な発展に貢献する」の実現に向けて挑戦を続けてまいります。
皆さまの益々のご健勝とご発展を心よりお祈り申しあげ、新年のごあいさつとさせていただきます。
- 「温泉チャージ」でブランディング 和歌山県とじゃらん、高付加価値プラン造成(24/11/25)
- 目標は25年中に署名100万筆 全国推進協、国民運動化し機運高める(24/11/25)
- 和歌山県旅館組合、「温泉文化」署名2カ月で1万5千筆を達成 12湯サミットで井上副会長に贈呈(24/11/25)
- ONSENを世界無形文化遺産に 「温泉文化」のユネスコ登録目指す(24/11/25)
- 「巡湯帳」と「御湯印」 わかやま12湯推進協が販売、12湯の周遊と再訪促す(24/11/25)
- 熊野本宮大社に「献湯」 12の湯を十二神へ奉納(24/11/25)
- 川湯温泉で第4回12湯サミット 聖地・熊野で“よみがえり”宣言(24/11/25)