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空白の1200年を埋める―新たな歴史観光コンテンツ 奈良市・安達えみさんの挑戦―ボイスドラマで聖地巡礼ツーリズム(1)

日本の中心として燦然と輝いた奈良時代の歴史文化の遺産が今なお光を放ち続けている奈良市。ところが、それ以降の奈良については学校教育で触れられることも少ない。そんな「空白の1200年間に光を当てたい」と観光コンテンツ化に乗り出したのが、合同会社榧(かや)代表の安達えみさんだ。

安達さんが注目したのは、平安末期に起こった「南都焼き討ち」。“平家にあらずんば人にあらず”という時代に、奈良の興福寺や東大寺の僧たちは敢然と平家に異を唱え抗った。怒った平家の軍勢が押し寄せ、奈良のまちは焦土化してしまう…奈良にとっては“負”の歴史だが、安達さんはそうは思わなかった。

「この事件があって、お寺は再建されることになり、いま国宝に指定されている運慶や快慶が出てきます。新しい文化が生まれたのです」

この史実は「龍華記」というタイトルで歴史小説になっている。直木賞作家・澤田瞳子さんの著作で、興福寺中金堂落慶を記念して書き下ろした作品だ。発行元のKADOKAWAの担当者から安達さんに「この本で何かしませんか」と連絡があった。前職がアニメ制作会社だった関係で面識はあったが、何より担当者が奈良ファンだったことから安達さんに打診があった。

安達えみさん

「龍華記」の舞台でもある
興福寺の国宝・五重塔と安達さん

原作を読み「すごく面白かった」。ただ歴史小説のままでは対象が限られてしまう。「歴史に詳しくなくても関心が乏しくても、あの時代観に浸れるようなコンテンツは…」と模索。ちょうど、奈良市が「観光コンテンツ造成補助事業」を公募しており、ボイスドラマ化を思いつき提出した。

(次の記事)空白の1200年を埋める―新たな歴史観光コンテンツ 奈良市・安達えみさんの挑戦―ボイスドラマで聖地巡礼ツーリズム(2)

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