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誰もが旅を楽しめる兵庫県を確立(3) 城崎地区でファムトリップ

3世代による初の実証実験

今年2月に初めて行われた旅行会社向けファムトリップ。兵庫県朝来市在住で車いすを利用する70代男性とその娘家族による3世代をモニターに迎え、JATAや大手旅行会社の担当者らが参加した。モニターの男性は、脳梗塞による左半身まひで現在は1人暮らしをしながら週2回のデイサービスとホームヘルパーを利用し、屋外は車いす、屋内は装具を付けて歩行器で移動している。

まず、JR城崎温泉駅前の城崎温泉ユニバーサルツーリズムセンターで貸し出している電動車いすを紹介。レンタル事業は2024年11月から開始したもので、免許不要で初めてでも簡単に操作でき屋内でも使える。現在2台あり、事前予約が基本だが当日空きがあればその場でも利用可。月1、2件のペースでレンタルされている(料金は4時間3千円から)。

城崎温泉ユニバーサルツーリズムセンターによる、けん引式車いす補助装置と、介助の「そぞろヘルパー」サービスを体験し温泉街を散策した。

温泉街の浴衣専門店「いろは」では、車いす利用者向けに浴衣のレンタルも。男女合わせて約20着あり、浴衣を上部と下部に分け袖は手を通すだけ、背中はマジックテープで簡単に止められるなど車いすに座ったまま着やすい仕様で工夫されていた(体験料は4500円から)。城崎温泉の7つある外湯の一つ「柳湯」の足湯は25年8月、湯底の底上げやベンチの高さを変更するなどユニバーサル仕様に改修され、車いすに座った状態で足湯を誰でも無料で楽しむことができる。その他の外湯にも入浴用車いす(シャワーキャリー)や杖、手すり、歩行器などの設備がほぼそろう。

城崎温泉街

けん引式車椅子補助装置を装着し、
城崎温泉街を散策

柳湯

車いすのまま浸かれる柳湯の足湯

宿泊した観光旅館「あさぎり荘」は“ひょうごユニバーサルなお宿”の一つ。バリアフリー対応の客室が2部屋ある。デラックスユニバーサルデザインルームは介護ベッドに加え、浴室に移動式チェアも備え、室内やトイレも車いすに乗ったまま移動できる。さらに入浴介助サービス「湯あみヘルパー」が大浴場で利用可(料金は90分税込1万5千円)。旅館に派遣されたヘルパー2名から入浴前に体温・血圧の計測などを受け、一緒に大浴場へ。洗髪や露天風呂への移動など入浴に関する介助にできる限り対応する。

あさぎり荘

旅館浴場での入浴を介助する湯あみヘルパー

観光では、豊岡かばん直売所・かばんのたなかで車いすに座ったままミニ手提げかばん作りを体験。兵庫県立コウノトリの郷公園は見学施設内も外もバリアフリー仕様で車いすのまま施設に関する話を聞き、外に出て飼育するコウノトリを直接見学できた。但馬の小京都と呼ばれる出石にあるレストラン・出石城山ガーデンでは、車いすに座ったまま片手でできるそば打ちも体験。出石の名物である明治生まれの時計台「辰鼓楼」など町並みをガイド付きで散策も楽しんだ。車いすでガイドを依頼する場合、付き添いがいれば対応可能とのことだ。

豊岡かばん直売所

豊岡かばん直売所でミニ手提げかばん作りを体験

モニターの男性が、最も印象的だったのは湯あみヘルパー。「身体がこんな状態では一人で風呂も入れずデイサービスを利用している。久々に大浴場や露天風呂など温泉を楽しめた」とサービスへの満足感をにじませながら語っていた。同行の娘は「三世代旅行は初めて。事前に入浴介助など多様なサービスがあると聞き、まったく不安はありませんでした。サービスがあることで家族全員が楽しむことができ、いい経験になりました」。

参加した旅行会社からは「旅行はしたいけど周りに迷惑をかけてしまうという声が多い。家族で行って良かったと言われるツアーを造りたい」「現地でソフト・ハード両面でのサポート体制が整っていれば、高齢者や障がい者にとって旅行への意欲向上につながると感じた」といった声も。

日本で今後確実に進む、超高齢化社会に向け、UTのニーズはさらに高まる。宿泊施設や旅行会社などとの連携のもと、観光やツアーとして具体化し、誘客につなげることができるか。全国初の条例を施行した兵庫県はその実現に向け、今後もUTの推進に取り組んでいく。

問い合わせ

兵庫県観光振興課 電話078―362―3375

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