【観光業界リーダー年頭所感】東京都ホテル旅館生活衛生同業組合 理事長 工藤哲夫 氏
新年あけましておめでとうございます。皆様方におかれましては、輝かしい新年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
さて、昨年もインバウンドの来訪は順調に推移し、1―10月で3554万人(24年同時期=3019万人)を記録しました。年間を通じては4千万人を超える見通しであり、その消費額も一昨年の8・1兆円を上回り、9兆円を超すといわれております。オーバーツーリズムや違法民泊の問題、中国政府による訪日旅行の自粛など、いくつかのマイナス要因はあるものの、特に大きな問題がなければ今後もインバウンド需要は順調に推移するものと思われます。
もう少し掘り下げて考えますと、為替の円安も相まって、インフレによる物価高は今後も続くと見られ、企業経営のみならず国民生活にも多大な影響を及ぼし、消費の低迷にもつながっております。
日本経済全体を俯瞰しますと、上場企業の約3割は増収増益を続け、その他の企業においても一部を除けば、業績そのものは概ね好調といえる状況にあります。しかし、インフレの波に乗り経済を牽引する先行企業がある一方で、その恩恵が一般庶民にまで行き渡るには、もう少し時間がかかると思われます。すなわち、日本経済は好調を続ける層と、景気の恩恵が遅れる層との二極化した構造が生まれてきていると言えるでしょう。
幸いにも宿泊業はインバウンドという海外からの需要に支えられ、インフレの波に乗り宿泊価格が上昇局面にあります。しかし、取引先や顧客が一般消費者である場合、価格に対する警戒感は高く、なかなか十分な価格転嫁が進まないのが現状でもあります。
結局のところ、一般庶民にお金を回すためには賃金の引き上げが不可欠であり、政府が経済団体に対して賃金引き上げを要請したり、最低賃金の引き上げを進めているのも、こうした理由によるものです。
そして我々宿泊業者は宿泊料金の上昇を目指しながらも、賃金の上昇や諸物価の高騰との狭間で舵取りをしつつ事業を進めていかなくてはなりません。我々経営者に求められるのはまさに微妙な経営判断であり、このバランスが安定するようになるには、もう少し時間が必要かもしれません。
前段のとおり、少なくとも東京の宿泊業界にとっては、マーケットが拡大しているという点では恵まれた環境にあります。今後も、市場の動向や企業を取り巻く経営環境を注視しながら、着実に歩みを進めてまいりたいと思います。
組合といたしましても、各種情報の収集に努め、セミナーや機関誌、展示会などを通じて、組合員の皆様に還元してまいります。
今年は午年、干支は「丙午(ひのえうま)」です。丙午は陽の火を象徴し、情熱や強い意志を表す年とされています。「挑戦」「目標」「飛躍」といった前向きなテーマを持ち、新しいことに挑戦するのに適した年ともいわれております。
激動の時代ではありますが、新たな目標に向け、皆様と共に歩んでいきたいと思います。

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