【観光業界リーダー年頭所感】公益財団法人関西・大阪21世紀協会 理事長 﨑元利樹 氏
昨夏当協会は向こう5年間の行動を定めた第5次「グランドデザイン」(中期計画)を策定しました。1982年、21世紀に相応しい「世界都市・大阪」の創生を推進する「大阪21世紀計画」の推進団体として設立された経緯から同計画の基本理念、基本構想を提言し、その推進のためのガイドラインとして策定しているもので今回が数えて第5次となります。
前回第4次の5年間では、新型コロナ禍で人々の行動様式は大きく変化しており、新しい「グランドデザイン」は、コロナ後を見据えた新たな行動計画と位置付けています。今回も、これまで策定ごとに一貫して掲げてきた「文化立都」という理念は継承しており、これは、文化により人を引き付ける都市を目指そうという概念です。
海外に目を向けるとパリやベネチアなど、その都市が持つ文化的魅力が人々を引き付ける例は数多く見られます。
大阪はかつて大陸から仏教が伝わった折に四天王寺が建立され、中世には本願寺が拠点を置くなど、都市の原点は宗教都市と言えます。江戸時代には「文楽」を生み出し井原西鶴、近松門左衛門など著名な芸術家も輩出してきた土地柄でもあります。2025年の「大阪・関西万博」は当地で2度目の開催となります。商都のイメージが強い大阪ですが歴史的に豊かな文化の創造力・発信力を備えているのです。
関西・大阪21世紀協会の今後5年間の活動を考えるとき、ウィズコロナの下ではネットの活用が浸透していることもあり、大勢の人々が集まる催しを開催するということではなく、かつての大坂で幾多の例があったように、「人」すなわちアーティストを支援することを柱の一つに据えたいと考えています。若いアーティストへの支援、子どもたちがアートへ関心を持つ機会の提供など、様々な取り組みを実施していきます。地道な動きでもあり、本年の干支「卯」のもつ敏捷性には欠けますが、カメの如くゆっくりとゴールを目指していく路線です。
関西に縁のアーティストたちによるアートシーンの創出により大阪、そして関西へ人々の関心を引付ける。そんな動きが定着すれば観光客も増加するでしょう。我々が目指す都市像の一面でもあります。
「文化立都」への道筋は「観光立都」へ通じているのです。
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