【観光業界リーダー年頭所感】東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 喜㔟陽一 氏
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
平素よりJR東日本グループに対し、格別のご理解とご高配を賜り篤く御礼を申し上げます。
昨年は、ポストコロナの日本経済が本格始動し、お客さまの流動が一段と活性化するとともに、訪日外国人数が過去最高を超える勢いで増加するなど、先行きへの明るさの手応えを感じることのできた一年でした。しかし一方で、コロナ禍によるお客さまの消費行動や就労環境の変化をはじめ、激甚化する自然災害、物価状況や人手不足の深刻化など経営環境の大きな変化と課題を受け止めた年でもありました。グループ内では、国鉄採用世代の大半が昨年度末までに定年を迎えたことによりJR採用社員がグループ全体の事業を担うこととなり、これからは名実ともに民間会社としての真価を問われる節目の年となりました。
そうした中で、私どもは、むしろこうした様々な変化を、これまで進めてきた構造改革をさらに加速させる好機と捉え、「新しい時代を切り拓くスタートの年」と位置づけて、経営のモードを「守勢から攻勢」に転じ、社内外の課題に果敢にチャレンジしてまいりました。
「守勢から攻勢」に転じるため、当社グループが展開する幅広い事業を14のビジネスユニットに仕分け、グループ全体でのキャッシュ・フローを最大化するとともに、高いコングロマリット・プレミアムを創出する体制を整えました。また、変革の「主役」であるグループ社員が、自らの創意や発意を起点としたチャレンジができる活躍のステージを拡大するため、営業職場と乗務員職場を統合した統括センター化などの組織再編や勤務制度改革を進めるとともに、新幹線荷物輸送「はこビュン」やロッカー事業を物流の中に位置づける「マルチエキューブ」など、グループ内での「融合と連携」の取り組みをさらに推進しました。7月には、「グループの成長のエンジン」と位置づける不動産事業をいっそう拡大するため、新たにJR東日本不動産株式会社を設立しました。年末には、Suicaを「移動と決済のデバイス」から「生活のデバイス」に進化させ、中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」の基盤となる「デジタルプラットフォーム」とする構想を明らかにしています。そして、人口減少など想定される厳しい経営環境の中で、鉄道を、安全でサービスレベルの高いモビリティとして将来に繋げていくため運賃改定の認可申請をしました。
一方で、鉄道の安全安定輸送に関わる事象により、お客さまに多大なご迷惑やご心配をおかけしたことは、鉄道事業者として重く受け止めています。特に、車両輪軸の組立過程における不適切な取り扱いは、単に車両分野、或いは鉄道事業の問題として狭く捉えるべきものではなく、「お客さまの安心や信頼」という視点から、お客さまにご利用いただいている当社グループのサービス全体の品質管理の問題として、今後のグループ全体の教訓として活かしてまいる決意です。
本年は、「究極の安全」をグループ全体でしっかり堅持する中で、新たなチャレンジによりグループの内外を取り巻く様々なボーダーを乗り越え、「新しい時代」に向けた飛躍をさらに確かなものにする年としたいと存じます。「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をコンセプトに、いよいよ3月27日にまちびらきをする「TAKANAWA GATEWAY CITY」からは、私たちのイノベーションを国内外に発信し続けてまいります。そして、鉄道を中心としたモビリティとお客さまの生活と幅広い接点を持つ生活ソリューションの二軸で支えられる強靭な経営体制の構築に、グループを挙げて取り組んでまいりますので、本年も弊社グループへの変わらぬご理解とご高配をお願い申し上げます。
末筆ながら、皆さまのますますのご隆盛をお祈り申し上げます。私たちの創意と連携の力で、日本社会の輝きを取り戻しましょう。
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