【観光業界リーダー年頭所感】JTB協定旅館ホテル連盟 会長 宮﨑光彦 氏
新春を寿ぎ、謹んでお慶び申し上げます。本年は、日本の観光が量から質へと転換する重要な一年になると考えます。観光産業は国民生活と地域経済の基盤であり、人を幸せにする「幸福創造産業」として、さらなる高みへ飛躍できるよう尽力いたします。
昨年はインバウンド需要が本格的に上昇軌道に乗り、終盤、中国からの渡航自粛問題が発生したものの、コロナ禍終えんからの「完全再生の年」となりました。万博の活況をはじめ、お客様の活発な移動により宿泊施設は高稼働を記録し、訪日外国人による消費は観光産業と日本経済に大きく貢献しました。
一方で、宿泊費高騰による日本人の旅行意欲低迷は看過できません。さらに重要な課題は「インバウンド受入体制」であり、特に宿泊施設運営における慢性的かつ構造的な人手不足です。需要急増に現場の供給能力が追いつかず、多言語対応も十分でない地域が多く、サービス維持が困難になりつつあります。また「オーバーツーリズム」に伴う地域住民との摩擦も、今年さらに顕在化すると感じています。これらは地域行政と連携しつつも、私たち自身が主体的に“考動”することが肝要です。
課題への対応は、持続可能な地域と共生する観光モデルの確立につながります。目指すべきは単なる宿泊者数の増加ではなく、一人当たりの消費額を高め地域に還元する高付加価値化への転換です。そのために、二つのテーマを掲げて取り組みます。
一つ目は、サービスの高度化と分散化によるオーバーツーリズム対策です。JTBとの協働体制を強化し、「時間軸の分散(オフピーク旅行の推進)」と「空間軸の分散(未開拓地域への誘客)」を実現します。普及しつつあるラーケーションなども活用し、量を確保しながら高付加価値・高単価なプランを開発し、国内外から評価される魅力的な施設・地域づくりを進めます。
二つ目は労働環境の改善とデジタル化の促進です。深刻化する人手不足に対し、JTBの実行力も借りながら有益なDX化を推進し、会員施設の好事例を横展開します。これにより従業員は定型業務から解放され、より顧客満足度の高いおもてなしに集中できる環境が整います。さらに業界全体の賃金水準や労働条件の改善を経営者間で検討し、観光産業を「夢とやりがいのある職場」として次世代に継承する新たな一歩を踏み出します。
JTB旅ホ連は本年設立70周年を迎えます。真の観光立国の実現に向け長年の信頼関係で結ばれたJTBとの連携を一層強化し「四方良し(お客様・地域・JTB・旅ホ連会員)」の精神で戦略的パートナーシップを深化させます。そして「幸福創造産業」の発展に向け、成果にこだわった事業活動を推進します。

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