キーワードは「つなぐ」 近畿観光まちづくりアドバイザリー会議、奈良県田原本町に提案書
国土交通省近畿運輸局が設置している近畿観光まちづくりアドバイザリー会議(吉兼秀夫座長=京都外国語大学特任教授)が2020年度の重点支援地域に選んでいた奈良県田原本町に観光まちづくりへの提言書を交付した。このほど、吉兼座長と近畿運輸局観光部の角谷敬二郎部長が田原本町役場を訪れ、森章浩町長に手渡した。
アドバイザリー会議は旅行会社や観光シンクタンク、鉄道会社、観光関連団体などに所属する14人の委員で構成。06年度から、近畿2府4県で支援を希望する自治体を選定し、マーケティングの視点から観光まちづくり推進の方策を提言している。
20年度重点支援地域に選ばれた田原本町は奈良盆地の中心にあり、近畿で最大級の弥生期環濠集落遺跡である唐古・鍵遺跡をはじめ歴史資源が豊富なまち。イチゴなどの農産物、味噌や醤油など発酵食品の生産地としても知られる。ただ、奈良市や橿原市、桜井市など周辺市町に比べて、観光まちづくりへの取り組みはこれまで本格化していなかった。
同会議では昨年8月に町内を視察。旧寺内町の町並みと味噌蔵、道の駅レスティ唐古・鍵、オープン直前の宿泊施設NIPPONIA田原本マルト醤油、イチゴ農家、アマビエの御朱印で話題の村屋神社、太安万侶ゆかりの多神社などを見学し現地関係者と意見交換を行ったほか、複数回の会議を重ねて田原本町の観光まちづくりの方策をまとめた。

唐古・鍵遺跡史跡公園を視察する委員
(昨年8月)
提言書では、熱意のある住民が多数いることが田原本町の強みであると強調。そうした住民が自由闊達に意見を交わすプラットフォームの必要性や、町内および周辺の豊富な資源を連携する「つなぐ」ことが田原本町の観光まちづくりを進展させていくと指摘した。機を同じくして発足した田原本まちづくり観光振興機構をけん引役として、町内での滞在時間消費と経済消費を促す方策を提案した。
交付式で森町長は「コロナ禍で新しい対応が求められるなか、田原本を選んでいただいたご縁を感じています。初めて観光に取り組むこのタイミングで、いただいた提案書は採り入れられる要素が多い」と話し、観光まちづくりを推進する意欲を示した。
これを受け、吉兼座長は「人が介在することで資源の魅力は高まります。多様なものをつないでいくことが田原本町の観光まちづくりのキーワードです」。角谷部長は「引き続き、田原本町の観光まちづくりに協力させていただく」などと応じた。

森町長(左)に提案書を手渡す
角谷部長(中央)と吉兼座長
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