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万国との交流元年 25年の紙面、世相から

早いもので今年もあとわずか。本紙編集部で恒例?の2025年「観光番付」を作成しました。観光産業の喫緊の課題である人手不足の根本的な解決策につながる光明は見いだせないまま。かと言って馬車馬のように「働いて働いて働いて働いて」と表明するには尻込みをする。来年は60年に一度の丙午。情熱やエネルギーが非常に高まるパワフルな年とされる一方、丙午生まれの女性は気性が激しいとか。日本初の女性首相を筆頭に、女性が観光産業をけん引することを期待しつつ、2025年を振り返ってみました。

横綱級の盛況だったけど…

観光番付

 2025年の観光トピックを振り返る中で、今年の横綱にあたるのはやはり「大阪・関西万博」だろう。

 そうだね。今年の正横綱は間違いない。関係者を含めて目標を上回る2900万人が来場し、ミャクミャク効果もあって運営費は最大280億円の黒字で、経済効果も約2兆7500億円とされている。

 それを額面通り受け入れるかは別。開幕前の万博プラス観光という面では、周辺地域や観光事業者に大きな恩恵があったとは言い難い。万博にお客さんを取られたと嘆く旅館ホテルも少なくなかったし、大阪市内では規制緩和による特区民泊を利用する外国人観光客が多かったと聞く。

 旅行会社も、貸切バスが万博に駆り出されて手配できないとか、万博の入場チケット代売しか仕事にならなかったと嘆く声が聞かれたよ。

 開幕当初の出足は鈍かったが、GW過ぎから関西ではミャクミャクグッズをつけている人が目に見えて増えた。「黒ミャク」とかレアグッズの人気もすごかった。

 盛り上がりには地域差があった。実際、東京などの周辺では「行列が長かった」「暑かった」といった苦労話が多かった。でも、閉幕が近づいた後半は「やっぱり一度は行っておこう」という人も出てきて、パビリオンは混雑で入れなくても「せめて大屋根リングに登って雰囲気だけでも」と足を運ぶ人も増えた。閉幕間際には東京でも一定の話題になり、駆け込み需要が見られたのが印象的だった。

 近所のおじさん、おばさんが各パビリオンの外国人スタッフと交流したことを嬉しそうに話したり、高齢者の方が楽しんでいたんじゃないかな。パビリオンの予約方法や会場内の完全キャッシュレス化に対しても最初は「こんなん私らでけへん」と不平不満を漏らしていたのに…。スマホスキルの向上とか、キャッシュレス化が各世代へ一気に進んだことが万博のレガシーかも。

 レガシーと言えば大屋根リングは保存するの? IRは走り始めているのかな。

 リングは一部保存し、パビリオンは地方で再活用する動きがある。IRは工事用のクレーンが林立しているぐらいで、まだよく見えてこない。

 もう一つの横綱「訪日客4千万人時代へ」にもつながるんだけど、国家間できな臭い話題が相変わらず多い中で、大阪・関西万博のレガシーはいろんな国の人たちと近しくなるきっかけになったことだと思いたい。世界万国との民間交流が進むきっかけになった元年が2025年だったと言えたらいいな…

(トラベルニュースat 2025年12月10日号)

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