4年ぶりに営業黒字 JTB24年中間決算(2) 訪日客分散化に意欲
同日には、決算会見を実施。冒頭、山北社長が青森県青森市での入札案件における大手旅行会社5社による談合の疑いが報じられていることを謝罪した。11月15日にはJTB青森支店を公正取引委員会の立ち入り検査が実施されており、山北社長は検査へ全面協力するほか、社内でも徹底的に事実確認の調査を進める方針を示した。公正な取引やコンプライアンスの遵守を前提として、入札のプロセスなどに関しても再確認する。
旅行需要について、山北社長は「国内旅行は非常に活発だが、海外旅行は円安や原油高、物価高の影響を受け、本格的な回復に道半ばだ。訪日旅行は台湾、米国のほか、中国の需要が着実に戻っている。グローバル旅行も欧州が堅調だ」と説明した。海外旅行の回復度合いは、コロナ前と比べて、今年度は50%台、来年度で80―85%、2025年度での完全回復を見込んでいる。
インバウンド需要の獲得に向けては、アドベンチャー、ガストロノミー、サステナブル、メディカルの4つのテーマ性ある商品、観光ルート開発を進める。「地域に分散して訪れる仕組みを作る」と山北社長。
地域関連の事業では、ワクチン接種やコロナ対策の事業はほぼ終息。経済対策関連では観光支援や観光地のコンテンツ開発、クーポン施策など、地域のニーズに応える事業が大きくなっている。
DXの投資については、顧客接点において旅マエでの情報提供や店舗でのデジタルサイネージの活用、顧客接点におけるチャットGPTや生成AIの活用を行う。着地型旅行では、施設への入場やMaaSをワンストップでの提供を目指す。社内においては、ロボティックによる処理や、宿泊施設など事業パートナーの人手不足に対応する仕組みの提案を行う。
店舗数は、19年度の480店舗から284店舗まで縮小。今後は、店舗自体の機能の多様化を図り、海外旅行やテーマに特化するなど専門性の高い店舗の設置や、店舗内におけるデジタル機器を使った地域のプロモーション活動などを展開する予定だ。
採用に関しては、新卒採用を強化し、24年新卒は450人ほど採用する予定。中途採用は常時行う。山北社長は「人材の回復が観光産業の復活に大きな鍵をにぎる」と述べた。
非旅行事業への投資については、観光地を高付加価値化するための地域への誘引コンテンツの開発など、デスティネーションに関する投資を強化。このほかビジネスソリューションに関するデジタル投資も加速する。
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