観光庁、旅館ホテルの生産性向上学ぶセミナー 顧客満足と効率の関係性―事例から
観光庁主催の「宿泊業の生産性向上に関するセミナー」が3月9日、大阪市北区の梅田セントラルビルで開かれ、旅館ホテルの経営者や幹部40人が参加した。
セミナーの冒頭、セミナーの事務局を務める近畿日本ツーリスト地域誘客交流事業部の池田幸二事業部長は「日本のサービス産業の生産性は低く、特に宿泊産業は低い水準にある。機械化、IT化などが進まず労働時間は長い。成功事例の共有化を図り、生産性を向上させたい」と語った。
セミナーでは神奈川県塔ノ沢温泉・一の湯本館の小川晴也社長が人事生産性(従業員1人1時間あたりの粗利益)に着目した取り組みを紹介。
小川社長は「人事生産性が低ければ収入は減るが、時給単価が下がる」「粗利益が高く、労働時間が長い旅館業では労働時間を減らすことが重要」「効率ばかりを追求しても、お客様の満足を得ることができなければ、客数は減少する」と話し、「システムはドライに、サービスはウェットに」と話した。

一の湯本館の小川社長が
人事生産性への取り組みを紹介
次いで新潟県越後湯沢温泉・HATAGO井仙の井口智裕社長が登壇。井口社長は「企業の目的は続けること。続けるためにはお客様に必要とされる企業であり、高い収益性と豊富な資金力、社員・取引先・株主との信頼関係が必要だ」と語った。
また「顧客満足は大事だが、一つの要因でしかなく、再来訪の動機にはならない。『たいへん満足』と答えた人の44%しか口コミをしない」という事例を紹介。リピートにつながる顧客を生むには「再来訪の可能性がある顧客を区別し、そのターゲットが再来訪につながるようなサービスを行うことが大事」と訴えた。
続いて宿泊施設活性化機構の伊藤泰斗事務局長は「日本の人口減少を考えると、どこをターゲットにするかを見極めることが大事だ。インバウンドのレジャー客は増えるが、ビジネス客は増えない。日本人のレジャー客とビジネス客は人口減少で減る。短期的には日本人客、中長期的にはインバウンド客を取っていくしかない」ことを示唆した。
同様のセミナーは東京、福岡、名古屋、札幌でも開かれた。
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