風通しの良い企業文化を— 全日本ホテル連盟がセミナー、GoTo不正問題でコンプライアンスを再確認
一般社団法人全日本ホテル連盟(ANHA、清水嗣能会長)は2月25日、会員ホテルに対して行動規範の再確認と構築を促すコンプライアンスセミナーをオンライン開催した。Go Toトラベル事業給付金の不正受給などが社会問題化していることを受け、企業倫理が専門の麗澤大学国際学部の梅田徹教授が講演した。
梅田教授は、HIS子会社による不正受給問題に関して、すでに公表されている同社の改善報告書と観光庁の調査状況資料などから、時系列に沿って事実関係を提示。その上で発生原因について(1)親会社(HIS)側に由来する原因(2)子会社側に由来する原因(3)紹介者・提案者の属性に由来する原因に整理した。(1)については内部監査や内部通報制度が不十分であったこと。(2)についてはコンプライアンス精神の欠如や社長への権限集中、(3)は子会社社長が元HISの代表取締役であったことから問題点が指摘しづらい状況で、このことがもっとも大きな原因と指摘した。
一方で、HISの再発防止策について「役職者に対する定期面談、アンケートは疑問」とし、「従業員にこそ聞くべきでは」とした。
また、梅田教授は企業倫理が変遷してきたことにも言及した。1970年代は「社会に迷惑をかけないということが企業の社会的責任の中で重視されてきた」ものの、徐々にレスポンシビリティ(責任)が「ガバナンス(統治)」に置き換わってきたとも指摘。企業のコンプライアンスは「従業員にまで意識を向けなければならない」のに対し企業ガバナンスが「株主の意向」が尊重されていることを問題視した。
今後、企業がコンプライアンス体制をどうつくるか。梅田教授は「基本的な価値の徹底。誠実であること、ごまかさない、嘘をつかないこと」とし次の4点を挙げた。
「風通しの良い企業文化を作るため、ルールではなく価値をしっかりつくること」「行動規範を自分たちで策定しオーナシップを発揮すること」「全社的に取り組めるプラスチック循環法の問題などテーマを募集し設定することで社員の意識やモチベーションにつなげること」「コンプライアンスの問題に限らず防災や人権、客とのトラブルなどリスクを洗い出すこと」と呼びかけた。
セミナーで清水会長は「一部のために、Go To再開の妨げになっている。正しく営業する者が正しく儲かることにつなげていかなければならない」と強調していた。
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