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【観光業界リーダー年頭所感】東海旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 金子慎 氏

年頭にあたり謹んで新年のごあいさつを申しあげます。平素よりJR東海グループに対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼を申しあげます。

昨年は、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出および移動の自粛等の影響により厳しい経営環境が続き、鉄道等のご利用は低調に推移しました。こうした中でも当社は、安全・安定輸送の確保を最優先に、感染拡大防止に取り組みながら、輸送機関としての役割を完遂するとともに、サービスの一層の充実や新しい旅行スタイルの提案による需要喚起、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化に取り組みました。また、これまでも不断に取り組んできた設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化を一層強化するとともに、安全・安定輸送の確保や輸送サービスの提供に支障しないことを前提に、可能な限りの費用削減を行いました。さらに、経営体力の再強化を図るため、ICTをフルに活用し、最も望ましい業務体制を構築する「業務改革」に取り組みました。

東海道新幹線では、大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策等の地震対策、鉄道設備の浸水対策を進めるとともに、車椅子スペースを6席設置したN700Sを投入したほか、在来線については、地震対策、降雨対策、落石対策等を計画的に進めました。

営業施策については、収益拡大に向け「ずらし旅」に加え「推し旅アップデート」等、新たな魅力ある旅行商品の販売に努めたほか、「EX―MaaS(仮称)」の展開に先立ち、沿線のホテル等の各種コンテンツにリンクするポータルサイトを開設しました。またモバイル端末等を気兼ねなく使用して仕事を進めることができる「S Work車両」の試行等車内や駅のビジネス環境の整備にも取り組みました。

中央新幹線については、長野県駅(仮称)等で工事契約を締結したほか、第一首都圏トンネル北品川工区では、シールドマシンを動かして安全・安心の取り組みを実地で確認する「調査掘進」を開始するなど、沿線各地で工事を着実に進めました。また、山梨リニア実験線では、改良型試験車と既存のL0系を組み合わせて走行試験を実施しました。

海外における高速鉄道プロジェクトについては、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対する技術支援等に取り組みました。

鉄道以外の事業についても、ジェイアール名古屋タカシマヤが大名古屋ビルヂングへ高級時計売場を出店するなど、収益拡大に努めました。

迎えた2022年も、鉄道事業者としての社会的使命を将来にわたり果たすため安全・安定輸送の確保を第一に、引き続き弛むことなく、中長期的な観点から経営基盤の強化を図っていきます。

鉄道事業については、災害対策をはじめとした安全対策を着実に進めるとともに、東海道新幹線では引き続きN700Sの投入を、在来線では新形式の通勤型電車315系の営業運転開始に向けた準備や次期特急車両HC85系の投入準備を進めます。

営業施策については、「エクスプレス予約」及び「スマートEX」のさらなる利用拡大に加え、社会情勢やご利用動向の変化を踏まえた需要喚起策を展開するほか「EX―MaaS(仮称)」の2023年夏の本稼働に向けた準備を進めます。

中央新幹線については引き続き「工事の安全」「環境の保全」「地域との連携」を重視しながら着実に取り組みます。

鉄道以外の事業についても、ジェイアール名古屋タカシマヤによる市中のショッピングモールへの食料品売場の出店等、新たな事業展開によりグループの収益力のさらなる拡大を図ります。

このほか、効率化・低コスト化に引き続き取り組むとともに、「業務改革」も着実に進めていきます。

最後に、感染者数の減少に伴い、足元では徐々に鉄道のご利用は回復してきています。このような中、当社としては引き続き感染拡大防止に取り組みながら、安全・安定輸送の確保を最優先に、鉄道の利便性やサービスに一層の磨きをかけ、ご利用の回復に努めるとともに、経営体力の回復・強化に努め、引き続き輸送機関としての役割を果たしてまいります。本年も変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。

年頭所感

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