茶どころ茶園前面に観光文化の定着促す 仁王HD・岡本書明会長が開く新機軸
花と葉、菓子をセット商品化
茶の産地を盛り上げ、活性化したい―。高級輸入家具販売を中心に事業を拡大、全国展開してきた仁王ホールディングスの岡本書明(ふみあき)会長が新たなチャレンジに取り組んでいる。フリーズドライの技術を応用した日本茶や和紅茶の商品化で、生産地の特色を前面に観光文化としての定着を目指す。
岡本さんがお茶に取り組んだのは、ランドディベロッパーとして英国で活動していた実兄から「日本産の茶を欧州に輸出してほしい」と頼まれたことがきっかけ。グループの家具店が栃木県の那須高原にあったことから、栃木産の黒羽茶の生産者に相談。2つの茶農家ら賛同を得たものの、実兄から頼まれていた茶の輸出は頓挫してしまった。
「輸出ができなくなりました、はい、やめますでは格好がつかない。せっかく協力に名乗りを上げてくれた仲間のためにも何とかしなければ」。まったく畑違いの茶の世界に「やめるに、やめられへん」状態で足を踏み入れることになった。
調べていくと、お茶の流通や製品化の中で、川下である販売店の茶舗は前面に出ているものの、川上の作り手、茶園が完全に裏方になっていることに気づいた。「茶園を前面に、生産者が元気になるようにしないと、日本のお茶がダメになる」。岡本さんはそう違和感を覚えた。
そうして、岡本さんの試行錯誤が続く。茶園に通い続けると、濃緑な茶畑に交じって可憐な花が咲いている。調べてみるとお茶の花は、茶葉に負けず劣らず栄養価があることも分かってきた。「葉だけではなく、花も商品化できないだろうか」。
岡本さんが開発した「浪漫街道 日本茶所 銘茶&お茶トモ・セット」は、それを具現化した唯一無二の商品。一つのパッケージで3層からなり、フリーズドライした茶花と一芯三葉の茶葉などを上段に、中段には和紅茶や緑茶・煎茶、花緑茶のティーパックが入っている。下段には特産の茶菓子をセット。

「浪漫街道 日本茶所 銘茶&お茶トモ・セット」
の那須高原茶編
お湯を注いでティーパックから抽出し、フリーズドライの茶葉を浮かべていると温まって花が開く。そして、茶菓子を味わいながらお茶を楽しむという、目と鼻と舌と…五感を活用する“浪漫”を感じてもらおうという趣向だ。
現在、黒羽茶のほか村上茶(新潟県)、奥久慈茶(茨城県)、那須高原茶(栃木県)、山辺茶(奈良県)の茶園と提携。それぞれ産地の特色を生かしたセットの構成で販売している。
岡本さんは「訪問先の宿で、行き帰りの車中で味わってもらいたい」とし、産地による飲み比べセットも販売。生産地の活性化、客への付加価値提供のため旅館ホテル、飲食店などでの取り扱いを希望している。

旅館ホテルや飲食店、道の駅などへ
連携を呼びかける岡本さん
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