【観光業界リーダー年頭所感】全日本空輸株式会社 大阪支店支店長 種村守之 氏
新年あけましておめでとうございます。おかげさまで昨2023年は新型コロナウイルス感染症のネガティブインパクトから漸うと脱し、同会計年度上期には会社創設以来最高益をいただくことができました。報道にもあります通り、当社便をご利用いただいたお客様の数はいまだコロナ前に及ばず、お買い上げ単価の上昇がこの好業績をけん引したことが実態で、その面ではまだ回復途上とも言えます。とは言え、潮目が良い方向に変わったのは間違いなく、困難な時期をお支えくださったお客様やビジネスパートナーの皆さまには本当に感謝の言葉もありません。
こうしたエアライン事業とは別に21年4月から本格参入させていただいた地域創生事業も3年を経過しようとしています。観光庁のイニシアチブにより、21年度の観光誘客多客化では兵庫県南あわじ市様や西脇市様と第2のふるさと推進事業を、翌22年の看板商品磨きあげでは神戸市様と同市沿海で獲れる質の良いシラスのプロモーションに関与させていただきました。また、これまで奈良県の下北山村様や天理市様などとはワーケーション事業でお世話になりました。大阪観光局様には南大阪地域の生産者さんが実践しておられる「もったいない」精神に立脚した事業運営をSDGsに紐づけて観光資源化しようという取り組みでご指導いただきました。和歌山県有田市様からは同市の伝統農業である有田みかんのプロモーションや、新たな可能性探求を通して地域課題解決への知見をいただきました。空港に近い、泉南市様、伊丹市様との間では、ANAのYouTubeチャンネルにて地域の魅力や、隠れた観光スポットなど、両市の情報発信事業に携わることができました。この他にも自治体やDMOの皆さまには様々な取り組みを通してご指導ご鞭撻いただき、必ずしもブルーオーシャンではない地域創生市場において事業を継続して来られたことをとても嬉しく思い、心から感謝申し上げる次第です。
ところで、私は13年から5年ほどANAパリ支店に在勤していました。当時、訪日フランス人数は、総数こそ近隣アジア諸国には及びませんでしたが、毎年2桁の伸びを示し、19年には私が在勤した当初は夢と言われた30万人を大きく超え、33万6千人余に達しました。日本政府観光局によれば昨23年10月の全世界からの訪日旅客数は250万人超を数え、初めてコロナ直前の19年同月を超えたそうです。フランスからの訪日数も堅調に回復していて、再び30万人に届きそうな勢いです。こうした喜ばしい状況を見て思うのは、コロナ禍において皆さんに育んでいただいた地域創生分野の知見の、こうしたインバウンドの地域誘客への応用です。今日、様々なバックグラウンドのプレイヤーたちが地域創生のフィールドで活躍しています。その中でインバウンドが復活しつつある今こそ、航空交通機関たる手前どもANAグループがお役に立てる可能性はさらに広がるものと考える次第です。
困難な時期を支えてくださり、そして、新たな可能性を授けてくださった関係者の皆さまにご恩返しができる年といたしたく思います。本年もよろしくお願いします。
- 「温泉チャージ」でブランディング 和歌山県とじゃらん、高付加価値プラン造成(24/11/25)
- 目標は25年中に署名100万筆 全国推進協、国民運動化し機運高める(24/11/25)
- 和歌山県旅館組合、「温泉文化」署名2カ月で1万5千筆を達成 12湯サミットで井上副会長に贈呈(24/11/25)
- ONSENを世界無形文化遺産に 「温泉文化」のユネスコ登録目指す(24/11/25)
- 「巡湯帳」と「御湯印」 わかやま12湯推進協が販売、12湯の周遊と再訪促す(24/11/25)
- 熊野本宮大社に「献湯」 12の湯を十二神へ奉納(24/11/25)
- 川湯温泉で第4回12湯サミット 聖地・熊野で“よみがえり”宣言(24/11/25)