LGBTQツーリズム推進 大阪観光局、25年の万博見据える
公益財団法人大阪観光局(溝畑宏理事長)がLGBTQツーリズムを推進している。国際旅行市場で一定数の割合を占め観光消費額の高い性的マイノリティを2025年の大阪・関西万博を見据えて誘致していこうと取り組む。その一環で、6月下旬にオープンした大阪市北区のアロフト大阪堂島を「LGBTQフレンドリーホテル」に認証した。
LGBTQは、レズビアン(L=女性同性愛者)・ゲイ(G=男性同性愛者)・バイセクシュアル(B=両性愛者)・トランスジェンダー(T=心と体の性が一致していない方)と、自分の性がわからないクィア(Q)を加えた性的マイノリティ全般を表す言葉。国際旅行でレズビアンとゲイの旅行者が占める割合は10%、約7千万人を占めており、全般的に富裕層が多いことも特徴で、観光消費額は約20兆円に達するという。
大阪観光局では、性的マイノリティを対象にした1万人規模のイベント、関西レインボーフェスタが大阪で開かれていることや、大阪市内にゲイバーが約100軒集積していることなどを背景に、LGBTQツーリズムの確立に取り組んでいる。公式ホームページに特設サイトを設けて国外に発信しているほか、日本のDMOとして初めて「LGBTQフレンドリーパッケージ」を開始、受入態勢づくりもスタートさせている。
アロフト大阪堂島はその第1号。6月9日にはLGBTQツーリズム・セミナーを開き、日本国内で先駆的にLGBTQツーリズムに取り組むアウト・ジャパンの小泉伸太郎さんが、ホテルスタッフ約60人を前に講演した。
小泉さんは「旅行意欲が高く、ロイヤリティの高いのがLGBTの特徴です。SNSで自らの旅行体験を発信することが多く、LGBTにフレンドリーなホテル、地域は一気に広まります」などと、LGBTQ市場を解説。また、地域固有の文化に対する関心が高いことが特徴で、大阪文化のポテンシャル、大阪の人たちのフレンドリーさがアピールポイントになると評した。
さらに接客時の注意点を具体例で詳述。「男性2人がチェックインしましたが、ダブルの部屋で予約が入っていました。どうしますか」と問いかけ、仮に「失礼しました。すぐにツインに変更します、という対応はダメです。ダブルルームの予約ですねと確認し、ありがとうございますと対応してください」。彼らが感じるバイアスを排していくことが受け入れのポイントになると指摘した。
溝畑理事長は「LGBTにフレンドリーなまちと発信することが、多様性を大事にする大阪を世界にアピールすることになります。皆さんは、その最前線で活躍してほしい」と参加者に話し、同ホテルのユージン・パク総支配人にLGBTQフレンドリーパッケージの認定証を授与した。

大阪観光局の溝畑理事長(右)が認定証を手渡す
大阪観光局では今後、LGBTQを受け入れる認証ホテルを増やすなどし、25年の万博開催時は世界のLGBTQから選ばれる都市にしていく、としている。
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