まるで「地下神殿」 首都圏外郭放水路で関東地方整備局が新設
国土交通省関東地方整備局はこのほど、インフラツーリズム、防災ツーリズムの拡大に向けて「首都圏外郭放水路」(埼玉県春日部市)の8つのパワーアップ計画を開始した。同放水路は春日部市東部の地下50㍍にある世界最大級の地下放水路として国交省が管理し、インフラツーリズム魅力倍増プロジェクトのモデル地区となっている。大人気ゲーム「マインクラフト」で防災システムを学ぶなどコンテンツを充実化するなど4月から見学コースと内容を拡充し、インバウンド観光客を含む年間来場者を10万人まで引き上げる。
首都圏外郭放水路は、最先端の土木技術を結集して建設された世界最大級の地下河川、「巨大地下神殿」と言われる調圧水槽はインバウンド観光客を含め観光資源として注目を集め、年間約6万2千人が有料の見学会で訪れている。

首都圏の地下に存在する“神殿”の見学に10万人の参加を見込む
関東地方整備局では、国民に迫る災害の危機に対して若手が中心となり、国民の命を守るために「災害の自分事化」について話し合い、「防災ツーリズム」のプロジェクトを官民合同で立ち上げ、国民の防災意識を向上させる8つのパワーアップ計画を考案。新たに「防災コンシェルジュ」を育成し「災害から命を守る 自分事化カード」を開発している。
8つのパワーアップ計画では、調圧水槽のライトアップや未公開だった第3立坑を新たに観光資源として開放した「地下河川を歩くアドベンチャー体験コース」を創設。子ども向けには人気ゲーム「マインクラフト」で放水路を再現した教材で防災システムが学べる。また、インバウンド対応として、従来の4言語から21言語に対応できる翻訳システムを導入。首都圏外郭放水路の観光施設としての魅力を広める。
同事業に関わる跡見学園女子大学の篠原靖准教授は「激甚災害が頻発している今、国交省の新たな防災意識向上政策としてインフラを観光資源としての活用を行って国民の防災意識向上を狙う戦略ができた。道路、ダム・砂防施設などの国のインフラを観光資源として地域活性化につなげていく契機となる」と話す。
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