「旅館経営学」確立を推進 日本旅館協会が総会、本部会費は前年に続き免除
日本旅館協会(2337会員、浜野浩二会長=北海道札幌市・佳松御苑)は6月17日、東京・竹芝のホテルインターコンチネンタル東京ベイで2021年度総会を開き、20年度事業報告と決算、21年度事業計画と予算などを審議、承認した。71人が出席した。
浜野会長は「昨年度はコロナ禍で旅館経営は危機に直面しましたが、特例的金融支援策や雇用調整助成金の特例措置などを活用しながらなんとか乗り越えてきています。政府の施策に感謝したいと思っています。ただ現状は依然として厳しく、各種支援を長く続けてもらう必要があります。Go Toトラベル再開はいつになるのかを注視していますが、再開までもう少し時間かかることを前提に対応していく必要があります。このところのワクチン接種の進行でコロナ禍は当初の悲観的予想より収束に向け少しスピードアップしているかなと感じています。ワクチン接種の進展で局面が変わる雰囲気も出てきました」と期待感を口に。その上で「宿泊業界としても、できる限り安心安全な環境づくりに協力していきたい。長い闘いで消耗戦の状況もありますが、勇気を持ち、健康に留意し、通常が回復されるまで奮闘をお願いします」と呼びかけた。
日旅協の事業運営は若手メンバーが軸の委員会を中心に行っている。委員会は政策、労務・生産性向上、EC戦略キャッシュレスの3つあり、20年度事業報告については各委員会が成果や課題、進捗状況を説明した。
このうち労務・生産性向上委員会の相原昌一郎委員長(静岡県・新井旅館)は、旅館経営学の確立や生産性向上、異業種との雇用シェアなどを研究していることを紹介。
旅館経営学については「ホテル経営学はあるのに旅館経営学はありません。後継者問題、賃金のあり方、生産性について旅館経営学として歴史、文化も含め調査しています」と説明した。
また、生産性向上の再構築については「労働環境の向上が労働賃金の向上につながっていないことを課題と認識しています。365日営業している稀有な産業にあって、労働時間をどのように働いてもらうかを検討する必要があります。産業界同士のマッチング、雇用シェアも課題です。企業グループだけでなく、他企業、異業種とも労働の移動の仕組みをつくりたい」と話した。
同委員会では雇用の受け皿としての宿泊業界の可能性についても視野に入れる。高校卒業とすると国の支援対象から外れてしまう児童養護施設出身の若者や社会的弱者の支援など、社会貢献できるような協会活動のあり方を検討している。
21年度はこれら委員会活動と、20年度に設置した新型コロナウイルス対策本部の活動を軸に事業を展開する。コロナ禍を考慮し前年度に続き、21年度も本部会費は免除、支部連合会会費は半額にする。
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