ホテル・旅館業の9割、仕入価格上昇に悪影響 日本政策金融公庫の景気動向調査
日本政策金融公庫がこのほど発表した2023年7―9月期の生活衛生関係営業の景気動向等調査によると、仕入価格が上昇したと回答した企業が約8割にのぼる一方、販売価格を引き上げたと回答した企業は約5割にとどまっていることがわかった。特にホテル・旅館業では96・2%が、仕入価格が上昇した回答していた。
調査は、全国の生活衛生関連企業3141企業から回答を得た。このうちホテル・旅館業は183企業だった。ホテル・旅館業に絞ると、仕入価格上昇に伴う経営悪化の影響について「かなり影響がある」が44・9%、「ある程度影響がある」が51・7%で、大半の企業が経営に悪影響を及ぼしているとした。
一方、仕入価格上昇分を販売価格に転嫁できているかを尋ねると、ホテル・旅館業では「すべて転嫁できている」0・6%、「概ね転嫁できている」18・8%、「一部転嫁できている」52・8%と7割以上が転嫁できているとしたものの「まったく転嫁できていない」も23・9%だった。
販売価格に転嫁できた理由について、ホテル・旅館業の6割が「顧客の理解が得られている」と回答。生活衛生関連の他業種に比べて回答率が高かったのは「既存の商品・サービスの付加価値向上」が28・6%で、飲食業の17・1%などと比較し付加価値向上で販売価格アップにつなげた企業が多かったようだ。
今後1年間の仕入れ価格の見通しについては、ホテル・旅館業の91・3%が「上昇する」とし、業種別でもっとも高い。
販売価格を前年に比べて「引き上げた」ホテル・旅館業は70・5%で、食肉・食鳥肉販売業の80・5%に次いで高い。販売価格引き上げの理由は、ホテル・旅館業は「仕入価格上昇分の転嫁」78・3%、「人件費以外の経費の増加」52・7%、「人件費の増加」54・3%の順。販売価格を引き上げたホテル・旅館業のうち「利益増加」は28・7%にとどまり、「不変または減少」は71・3%に及んだ。
今後1年間の販売価格の見直しについて、ホテル・旅館業の55・7%は「引き上げる」と回答。「据え置く」は43・7%だった。
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