楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

対馬と韓国人観光客

19/09/10

長崎県の離島・対馬。飛鳥時代に白村江(はくすきのえ)の戦いで防衛のための狼煙台や防人が配備された島だ。島のほとんどが山で、平地はほとんどないという島だ。対馬市の発表によると2018年の同市への韓国人観光客数は40万9882人で、対前年比約5万4千人増と7年連続で過去最多を記録した。

数年前に対馬を取材で訪れたが、港は韓国人観光客ばかりで、圧倒されたことを思い出す。その対馬が“反日”のヒートアップで韓国・釜山とを結ぶフェリーが運休、対馬の観光業が大きな打撃を受けている。日本よりも釜山からの方が近いという地の利が韓国人にとっての手軽な訪日旅行だったのだろう。歴史があり、平地は少ないがゆえに多様性に富む食や文化を生み出してきた。それが対馬ならではの魅力であり、韓国人にも身近な海外旅行として支持を得てきたのだろう。

それが、政府間の対立に端を発した反日や自粛ムードをもろに受け、韓国人観光客が激減したのは気の毒でもある。

しかし、規模の大小はあるにせよ、特定の国から、もしくは市場から集客を頼る構造になってしまうと、いつ対馬のようになるかもしれない。改めて観光は“全方位外交”を基本に、多様性を担保しなければならないと改めて思う。

(トラベルニュースat 19年9月10日号)

この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
新・観光スタイル打ち出す三重伊勢志摩

伊勢神宮をはじめ、数多くの観光スポットが点在する伊勢志摩。秋の本格的な観光シーズンを控え、...

「天領」大分日田・天ヶ瀬で温故知新の旅

4―6月に展開されていた「福岡・大分デスティネーションキャンペーン(DC)」は地域に“あた...

観光先進地・岐阜下呂が贈る心にしみる旅

持続可能―。地域の維持、そして未来への発展に向け各地で取り組みが進むが、岐阜県下呂市が展開...

トラベルニュース社の出版物
トラベルニュースat

観光・旅行業界の今に迫る面白くてときどき役に立つ専門紙。月2回発行

大阪案内所要覧

旅行業務必携。大阪にある全国の出先案内所収録。19年版発売中!

旅行業者さく引

セールス必携。近畿エリア全登録旅行業者を掲載。22年版発売中!

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ