言霊で業界に寄与したい
視聴率が好調なNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」。江戸時代のメディア王と称され、出版・文化の世界で江戸期を駆け抜けた蔦重重三郎が主人公で、我々新聞を発行する者としては大先輩にあたる。
直近の放送回では、蔦重が天明の大飢饉や米相場の高騰で、庶民や商売を行う大店が苦しい日々を送っているなか「俺たちは米一粒作れねえ、この世の役立たずじゃねえか! そんな俺たちができることって、天に向かって言霊を投げつけることだけだろ!」と叫ぶ。そして「言霊よ、来い!」と天に向かって呼びかけ、すでに飢饉が収まり米の値段が落ち着いたことを伝える冊子を発行する。言霊の力で世の中の流れを変えようというわけだ。
生成AIに丸投げして文章がかける時代になった今、現場に入り、この目で見て耳で聞き感じたことを文章にして伝える―。その中にこそ「言霊」が宿り、本来伝えたいことが読者の皆様の心に刺さる記事になると信じたい。
1970年に創刊した本紙は今年で55周年を迎えた。すでに今年も後半戦に入った。米一粒どころか何の生産性も持たない我々だからこそ、謙虚に人に会い、話を聞き文字にするという新聞づくりを通して観光業界発展に尽力することを誓いたい。
(トラベルニュースat 25年7月25日号)
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