琵琶湖の価値をエコツーで再発見 エコツーリズム協会しが・シンポ
エコツーリズム協会しが(北村裕明会長=滋賀大学教授)は7月9日、大津市のびわ湖大津館でエコツーリズムリレーサミット「総括シンポジウム」を開催。県内のツーリズム関係者ら約30人が、エコツーリズムによって琵琶湖の価値を再発見し未来に活かす方策について意見を交わした。
同協会は2008年10月、滋賀県らしいエコツーリズムの普及を目的に設立。16年12月から、県内ツーリズム関係者の情報共有を目的にリレーサミットを開催。着地型観光などをテーマに3回にわたって実施し、その集大成として総括シンポジウムを企画した。
基調講演で北村会長は、人気絵師だった吉田初三郎が大正時代に琵琶湖を富士と並ぶ資源だと高く評価していたことを紹介。琵琶湖の価値を現代の自分たちが改めて再発見するためには「多様なエコツーリズムの展開」によって実現すると指摘。首都圏の旅行会社と連携した情報発信、ガイドの育成などに取り組んでいく必要性があるとした。
続いてパネリストが自らの取り組みからエコツーリズムのビジョンを示そうと意見を交換した。
琵琶湖の内湖・西の湖で埋め立ての開発から逃れて奇跡的に残った権座という島で、地元の人たちと酒米を栽培し酒づくりに挑んできた喜多酒造(東近江市)の喜多良道さん。「酒ではなく、夕陽が美しく文化的景観が残る権座という地域を売ろうと取り組んできた。今では全国から来訪する人も増えている。それは、効率性を求めた開発から逃れた“不便”にこそ価値があり、地域外の人も認めているからだ」。
琵琶湖汽船の川戸良幸さんは「これからのブランドは環境と社会と経済の関わりから生まれる」。琵琶湖ブランドも住民と企業がいかに環境と社会に貢献し、そのことに価値を見い出すことが重要だと指摘した。
県議会議員の井阪尚司さんは「エコロジーをベースとしてエコノミーにつながってこそ共感は広がる」と提起。これに対し、びわ湖大津観光協会の宮本説三さんは「芸術文化施設として寺社を売り出すことで、京都とは異なり環境を生かした価値を提案」、訪日客向けツアーを行っている悠ツアーの森清太さんは「ガイドを職業として社会的地位を上げる」など具体的な方策を示した。
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