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旅行業の近未来予想図 鹿児島県協会・組合が問う「2030年の旅行業」(3) 熊本地震後の旅行業協同組合

赤司大介さん 行政と連携し訪日客事業も

熊本県旅行業協同組合にとって大きな転機になったのは、2014年の熊本地震です。地震直後、旅行はまったく売れず、この先どうやって生き、商売していいのか分からない。そんな中、救世主のように現れたのが「九州ふっこう割」でした。

ただ、組合会員は第3種登録がほとんどです。そこで熊本県旅行業協同組合として一致団結し「地元業者が助かる施策でないとダメだ」と毎日のように県に働きかけ、九州ふっこう割を我々も自由に売れるようになったのです。その中で行政の方と互いに信頼関係ができパイプができ、それが今の組合事業につながっていったのです。

くまもとの食ツアー造成支援事業は昨年度、県から受託し、地震によって落ち込んだインバウンドを何とかしようと実施したものです。ファムツアーで海外のエージェントを招き、旅行商品造成にもつながりました。

学生による着地型旅行の開発は、熊本県立大学丸山ゼミの授業の一環として熊本市内、玉名市、阿蘇の3カ所で組合理事と一緒に地域の特色を生かした着地型旅行を開発していく取り組みです。県観光連盟の支援もあり、来年は県内6大学で有志チームを作って大学対抗の着地型旅行コンテストを行う予定です。

経済産業省の中小企業支援制度である地域資源活用認定事業は、デコポンや赤牛をはじめ多くの観光資源などが熊本の地域資源として登録されており、それを使って新たな商品やサービスを開発、生産する取り組みを支援する事業です。

赤司大介さん

赤司 大介さん
熊本県旅行業協同組合副理事長・
MICE部会長

我々は今が旬のインバウンドFITに着目した地域資源の活用で認定されました。阿蘇くじゅう国立公園と赤牛など地域資源を組み合わせてコースを造り、必ずガイドを付ける。富裕層をターゲットにガイドを付け値段設定も高くし、自分たちだけでは決して体験できない付加価値の高いプランを提供しています。つまり、我々地域に密着した旅行会社ならではのサービスです。OTAや熊本のDMCなど多岐の販売方法を予定していますし、オペレーションする人材の養成も進めています。

2019年ラグビーW杯は熊本で2試合開催され、いま我々は輸送計画を策定しています。これは日本旅行、近畿日本ツーリスト、西鉄旅行と我々4者のJVで受注しました。地元の人間として我々がやりたいと行政に話をしていて、まさか本当に取れると思っていませんでしたが、大手と一緒にやるのも、これから大事だと思います。

2020年は、熊本で2回目となる国内観光活性化フォーラムがあります。会場の熊本城ホール完成直後なので、熊本市は最大限手伝うと言っていただいています。

鹿児島県旅行業協同組合の着地型旅行への取り組みを目の当たりにして、我々はどうすればいいのかと理事を中心に考え取り組んできたことだったと思っています。

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