IRは新しい街の登場 米国アンコール・ボストンハーバーから(3) 横浜進出目指すウィングループ、クレッグ・ビリングス社長に聞く
ボストンの4倍、従業員は1万6千人
翻って日本ではどうか。現在明らかになっている大まかなスケジュールとしては、2022年前後に3カ所程度の候補地が決まり、20年代後半に開業という流れと言われてきた。ところが昨年末にIR施設をめぐる汚職事件が露見したことで、野党4党がIR整備法を廃止する法案を通常国会に提出することを決めるなど、先行きは一転、不透明な状況だ。
○
そんな中、日本進出に関する意気込みをウィングループ全体の社長兼CFOであるクレッグ・ビリングス氏に尋ねた。

横浜への熱い思いを語ってくれたビリングス社長
―次の拡張や新規市場進出についてどう考えているのか?
ウィングループはアメリカとマカオでIR事業展開をしており、既存施設の拡張計画はあるものの、日本への進出が最優先事項になっている。
―数ある国々や市場の中でなぜ日本が最優先されているのか?
日本の最大の魅力はまず大きな市場規模だ。日本国内はもちろんアジアをはじめ世界中の人々が日本に魅せられて、インバウンドは非常に大きな伸びを示している。それに加えて、日本政府および各自治体が非常に厳しい関連法令や規則を整備しており、安心して取り組めるのも大きい。さらに日本国民は目や舌が肥えていて、伝統的にも高い品質のサービスを志向することから、ウィングループの5つ星のおもてなしを気に入ってもらえると確信している。
―どの都市を意図し、その理由は?
横浜の山下埠頭地区への進出を希望している。大阪や他の関東エリアも検討したが、ウィングループにとっては横浜がベストであるとの結論に至った。JRや私鉄の駅から至近であり、中華街やみなとみらい地区と隣接、野球場やサッカー場、劇場といった娯楽施設とのアクセスも良いのが大きな魅力。
―どのくらいの規模を想定しているのか?
ボストンハーバーの4倍以上の規模を想定している。具体的には従業員規模は約1万6千人、ホテルの客室数は4800室、4つの劇場と巨大なMICE(国際展示場・国際会議場)を備えるものになる。その一方でカジノ施設は総面積の3%程度に留まる。
―ほかにも横浜進出を希望しているIRオペレーターがいるが、ウィングループが指名を獲得する自信は?
まだ詳細を話せないのが残念だが、日本では有力なパートナーと組んで地域融合型の素晴らしい計画を準備している。このプランが明らかになれば、きっと日本の皆様にも気に入っていただけると信じている。横浜と日本の魅力を世界に向けて発信したい。
―大型IR施設が近隣にできると宿泊客や商品販売を奪われるとして脅威に感じている観光業者、小売業者がいるが。
ボストンでも当初は同様の懸念の声があった。しかし、今はまったくなくなり、却って感謝されている。我々は1万6千人の人々が働く新しい街を横浜に生み出す。この街には国内外から年間数千万人の人々が訪れることになる。この賑わいが生む経済的波及効果は周辺の観光業や小売業を営む皆さんにも大きく貢献することになると思う。
(前の記事)IRは新しい街の登場 米国アンコール・ボストンハーバーから(2) 開発担当のゴードン社長に聞く開業への道のり
- タイ観光は完全に再開 旅行商談会「TTM+2022」開催(3) 質の高い旅を日本へ提案(22/07/06)
- タイ観光は完全に再開 旅行商談会「TTM+2022」開催(2) 世界42カ国から277のバイヤー参加、訪タイ旅行復活アピール(22/07/06)
- タイ観光は完全に再開 旅行商談会「TTM+2022」開催(1) 22―23年キャンペーン「Amazing New Chapters」を展開(22/07/06)
- “民の力”で迎えた市制100年・北海道小樽市(5) 「小樽ガラス」が紡ぐ歴史と未来−シンポジウム3(22/06/15)
- “民の力”で迎えた市制100年・北海道小樽市(4) 「小樽ガラス」が紡ぐ歴史と未来−シンポジウム2(22/06/15)
- “民の力”で迎えた市制100年・北海道小樽市(3) 「小樽ガラス」が紡ぐ歴史と未来−シンポジウム1(22/06/15)
- “民の力”で迎えた市制100年・北海道小樽市(2) 迫俊哉市長に聞く−歴史と海と港でまちづくり(22/06/15)