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【観光業界リーダー年頭所感】日本商工会議所 会頭 小林健 氏

明けましておめでとうございます。2023年の新春を迎え、謹んでお慶び申しあげます。

(はじめに) 私は、昨年11 月の会頭就任時に「日本再生・変革に挑む」とした所信を表明し、「変革の連鎖」によって日本再生を成し遂げるために全身全霊を傾けることを会員の皆さまに誓いました。また、その後、全国各ブロックの商工会議所の皆さまや都内の中小企業経営者と対話する機会を得て、「現場主義」と「双方向主義」を継承・徹底させていかなければならないとの思いを新たにしました。わ れわれ商工会議所は、今年も一丸となって事業者の皆さまの声を適切に政策提言や事業活動に生かしつつ、地域経済、日本経済の発展のために力を尽くしてまいります。

(当事者意識を持ち自己変革を) さて、わが国は過去20年以上にわたり物価、賃金、生産性がほぼ横ばいという停滞が続き、先進諸国に比して相対的に競争力は低下しています。さらに昨年、コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻、世界的なインフレなど、大きな環境変化が次々と押し寄せ、極めて予測困難な状況が続いています。

本年は、こうした大きな環境変化に対応しつつ、人口減少や少子高齢化、社会保障費の拡大、財政赤字、人手不足、エネルギー問題、さらには加速するデジタル化やグローバル化への対応などの構造的課題にわが国が正面から取り組み、成長軌道に戻していくための重要な年になると認識しています。足元では、複合的な要因による物価上昇・円安の影響で中小企業は厳しい状況に置かれていますが、われわれ、企業が成長の原動力であるという当事者意識を持ち、現実を直視し、果敢に自己変革に挑まなければ、この時代を生き抜くことはできません。 今こそ、渋沢栄一翁の「逆境の時こそ、力を尽くす」という信念に学び、企業経営者が積極的に行動を起こしていかなければなりません。

私は、経営者の責務は、経済価値、社会価値、環境価値の三つを同時に追求すること、即ち社会に責任を持ち、貢献することだと考えています。中小企業は、変化に対する柔軟な対応力を有しており、経営者と現場の距離も近く、経営者の理念を共有しやすい土壌があります。中小企業こそが 自己変革と 地域貢献・社会貢献の主役であり、日商の会頭として、私が先頭に立って自己変革に挑戦する中小企業のイノベーション創出と付加価値向上を通じた成長を支援、大企業と中小企業が共存共栄できる社会を目指していきたいと考えております。

(企業の挑戦を支える環境整備を) 一方、政府の重要な役割は企業の挑戦を支えるための環境整備にあります。特に「民間投資の強力な推進」「持続的に賃上げできる環境整備」「サプライチェーンの強靭化と経済安全保障」「多様な人材が活躍できる国づくり」の四つの対応を政府には求めたいと思います。

資源を持たないわが国が持続的に成長する めには、競争力のある「科学技術創造立国」としての地位の確立を目指し、成長のエンジンとなる新たな産業分野へ投資を強力に促進していくことが不可欠です。そのためにも、政府は新しい資本主義の重点投資4分野における官民の適切な役割分担、リスクシェアリングを図り、企業の成長期待を高めるとともに十分な規模の政府支出、税制、民間投資を促す大胆な規制改革に取り組んでいただきたいと思います。

エネルギーに関しては、安定供給の確保とともに、2050年カーボンニュートラル実現に向け、GXの活用や原子力を含むエネルギー政策を政府が前面に立って推進することが求められます。さらに、中小企業が賃上げできる環境整備に向けて、取引価格の適正化、デジタル化の推進等、生産性向上への支援強化が必要です。生産拠点の国内回帰を含め、多様化する供給網の整備も急務であり、企業の予見性を高め、自由な経済活動を阻害しない経済安全保障に取り組むべきであると考えます。

(志を高く、新時代を切り拓く商工会議所に) 商工会議所としては、地域の第一線で活躍する会員企業の皆さまと共に、こうした課題や変化をタイムリーに察知し、商工会議所自らも変化に対応できる強い足腰を鍛え、「中小企業のイノベーション創出・成長支援」「大企業と中小企業の共存共栄の実現」「人と企業が輝く地域の創造」の3本柱の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

昨年、日本商工会議所は100周年を迎えました。次の100年に向けて、本年が、「日本再生・変革に挑む」ための力強い一歩を踏み出す年となるよう、スピード感をもって実行していく組織、志を高く、新しい時代を切り拓いていく組織を目指してまいります。皆さまの一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

年頭所感

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