村上ムッシュウ
86年春、札幌市の北海道自治会館(北海道市町村職員共済組合)を経営診断の結果、全面改築することが決定しました。ホテルポールスター札幌としてオープンする直後までのコンサルで2年半、ほぼ毎月札幌通いです。
新ホテルは婚礼にも力を入れ、旧施設にはなかった洋食レストランも設けるため「洋食料理長探し」が運営面で最大の課題となりました。そこで日本ホテル協会の丁字事務局次長に相談したところ、「村上ムッシュウ(帝国ホテルの村上信夫総料理長)にお願いしてみましょう」と即断即決してくれました。
その後、数カ月経過して状況を直接村上さんにお尋ねしたところ「大丈夫ですよ、心配しないで」とのお言葉に安心。そして折よく、というか札幌市内で廃業するホテルが出現し、その料理長を推薦していただきました。
88年9月のオープン披露には、札幌まで前日に来てくださり、その夜は「ムッシュウ」に心酔する道内のコックさんたちと宴会。二次会はカラオケスナックで予定外の楽しい時間の共有に預かりました。
そして披露当日も想定外で、村上さん自らコック帽姿で厨房に入り、陣頭指揮をされました。披露会食場で、私が「一番お好きな料理は?」とお尋ねすると「家内が作るお茶漬けです」と誰からも好かれる人柄の表れたお返事でした。
オープン披露日に帰宅して、その翌日、ハワイのホテルめぐりに出発。4泊でマウイ島、ハワイ島、オアフ島を回りました。特にハワイ島の2軒、同年ハワイ最大の話題になるであろう新規開業を3カ月後に控えた超大型ホテル、ハイアット・リージェンシー・ワイコロア(現在はマリオット系)の見学と、ハワイを代表するホテルの一つウェスティン・マウナケアの宿泊が主目的です…
(佐藤陸雄=元リーコ代表取締役)
(トラベルニュースat 2022年6月10日号)
- 田辺英蔵氏と旅館業について対談(22/05/13)
- 「調理師の掌握」&「小旅館の企画商品」(22/04/13)
- 虎ノ門パストラル(22/03/15)
- 目標が規律を生む(22/02/16)
- 「予算制度」しかない(21/12/15)
- 旅館よりホテルの「なぜ」(21/11/15)
- 公取委の課長を訪ねる(21/10/13)