切り取り取材にご注意
先日、親しい旅行会社の社長から電話があった。「1月25日号の社説ほど我々中小旅行業者の声を代弁しているものはなかった。知人の旅行会社がGo Toトラベル事業についてテレビ取材を受けることになった。社説のことを話すように言ってもいいか」とのことだった。
もちろん承諾したが、放映後かかってきた電話は「やられた」。「Go Toトラベル事業は後回しでいい。先に医療現場へ予算を」という発言が“切り取り”され、本来の趣旨とは真逆の報道をされたという。
関西近郊の温泉地でも、昨秋に宿泊客が回復しつつあったころのテレビ取材で「お客様が戻ってきてよかった」とのコメントは無視され、温泉地の集客がいかに悲惨な状況かという後ろ向きな話をする人が出演していたという。他局でも、その人に取材が集中しているそうだ。
Go Toトラベル事業がいかに失策であるか、観光地はいかに苦しんでいるかを報道する目的でコメントを集める取材だということがよくわかる。
我々は仕事柄サービス精神が旺盛だ。ついつい相手の顔色を深読みしてしまい善意から話してしまう。でも、相手は百戦錬磨。結論ありきで取材しているかもしれないことを念頭に置き、業界全体を代弁する心持ちで臨もうではありませんか。
(トラベルニュースat 21年2月10日号)
- インバウンドと富裕層(24/10/25)
- 「あまろっく」に思う(24/10/11)
- 「バスの日」に思う(24/09/26)
- 高付加価値化とは―(24/09/10)
- 臨時情報下の同調圧力(24/08/28)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)
- 宿泊税は地域のために(24/07/11)