苦境に耐えうる「真水」を 全旅連・多田計介会長にコロナ禍の現状と展望を聞く(1) 固定資産税の減免求める
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の多田計介会長(石川県和倉温泉・ゆけむりの宿美湾荘)にメールでインタビューを行った。新型コロナウイルス感染症の拡大で、宿泊業界が未曽有の経営状況に置かれている中、全旅連では1月に対策本部を設置し様々な活動を進めている。未だ収束が見通せないが、全旅連会員と宿泊業界へのメッセージをお願いした。
“4本柱”を国へ要望
―ご多忙の中、急きょメールでお願いして申しわけございません。
新型コロナウイルス感染症に関して、まず旅館ホテル・観光関連の皆様に、この苦境に耐え英知を絞り立ち向かっていただいていることに敬意を捧げます。
全旅連としては、今日の糧をどうするのかで困窮している現状を踏まえ、どうしたら会員の皆様が踏み止まることができるかを一手一手進めてまいります。
―全旅連では「金融対策」「助成金による支援」「規制・公共料金の免除、減免」「観光振興策」を4本柱として国への要望活動を行っておられますが、要望の具体的な内容と活動の中でお感じになっていることをお教えください。
金融対策については、まずは無担保無保証での資金繰り貸付を要望いたしました。貸付枠の拡大、借入金の返済猶予などいろいろ手立てが打たれましたが、政府系融資などでも中央で決まった情報が地方で時間的ズレが生じてしまい、はじめのころスムーズにいかなかった声が多く寄せられました。
助成金はやはり、雇用調整助成金になるわけですが、当初より申請様式に問題があり、すなわち複雑であるとして簡素化、そして日数延長と助成率を上げていただくように要望しました。段階的でしたが、要望が通る結果になりました。
振り返って見ると、第一の要望の山場は3月上旬でした。数日間にわたり自民党・公明党への観光関連団体での大規模な要望ヒアリングが行われ、日本シティホテル連盟・日本旅館協会・そして全旅連の旅館ホテル三団体による統一の要望書が出されたのも業界として意義深いことであったと思います。
しかし、要望が浮き彫りになる中で、全旅連執行部として気づく問題が浮上しました。資金繰り貸付や国税の猶予はやがて負債となるだけで、今回の新型コロナウイルス感染症問題による我々の負担軽減は、雇用調整助成金しかないことでした。「真水が必要だ!」との着眼から浮上したのが固定資産税の減免でした。以前より、業種的に大きな負担としても指摘されてきた固定資産税は要望する必要があるとして、追加要望され令和3年度課税額の減免が決まりました。ある意味、今後も含めて固定資産税は注視してまいりたいと思います。
(トラベルニュースat 20年5月10日号)
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