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クルーズ人口2030年100万人へ 日本クルーズ&フェリー学会が総会・講演会

コロナ禍で落ち込んだ日本のクルーズ市場の復活と拡大に向けた情報を共有し、国が掲げる2030年の日本人のクルーズ人口100万人の実現を後押ししようと11月8日、日本クルーズ&フェリー学会(赤井伸郎会長=大阪大学大学院教授)の総会と講演会が神戸市中央区の神戸海洋博物館で開かれた。2026年秋にデビューする三井オーシャンサクラや27年から日本発着クルーズを2隻体制に拡充するプリンセスクルーズ、28年に登場するディズニークルーズなどの最新情報、フライ&クルーズの活用などによるクルーズを通じた地方創生について理解を深めた。

ディズニー参入など追い風 市場拡大に新船が続々登場

講演会ではまず、国土交通省海事局外航課の楠山賀英課長補佐が、今年2月からクルーズ市場の拡大へ向け議論を重ねてきた「日本のクルーズ市場の持続的発展に向けた有識者検討会」の報告書を解説。日本人のクルーズ人口は19年の35万6千人をピークに24年は22万4千人まで回復したものの、楠山さんは「観光総人口に占めるクルーズ人口はアメリカの0・59%に比べて、日本は0・03%に過ぎません」。ただ、ディズニークルーズの登場や新しいスタイルの船舶がデビューすることに期待を寄せた。「両備ホールディングスは2027年に国内初のヨットタイプのクルーズ船をデビューさせます」と紹介。1万㌧前後の大きさで客室数60室・定員120人の規模で「質の高いパーソナルサービズを提供すると聞いています」と伝えた。

こうした日本のクルーズ客船の選択肢が増えることを背景に楠山さんは「日本のクルーズ市場は多様化のフェーズに入り、29年に68・3万人と予想しています。クルーズは我が国の観光にとってニューフロンティアです」と強調した。

日本クルーズ&フェリー学会

日本のクルーズ市場拡大に向け
意欲的な発表が相次いだ日本クルーズ&フェリー学会

28年から東京港を起点にディズニークルーズを運航するオリエンタルランドの志村直彦クルーズ準備室長は事業概要について説明した。船名は「ディズニー・ウイッシュⅡ」で、客室数約1250室、乗客定員約4千人、乗組員約1500人、総トン数は約14万㌧と日本籍で最大のクルーズ船になる。船内ではディズニーのコンテンツを前面にしたエンタテイメントやアクティビティ、バラエティーに富んだ3つの大きなレストラン、ショッピングゾーンなどディズニーの世界観を打ち出す。「ファミリー、ヤングアダルト層をメーンターゲットにインバウンドにも期待しています」と志村さん。定員4千人のうち3割はインバウンドの乗船を見込む。

また、従来の日本人クルーズでは主流でないターゲットを獲得するため「若い世代が購入しやすいよう2―3泊の短期航路が中心になります」と話したほか、志村さんは「雇用拡大にもつなげたい。ディズニークルーズに乗った子どもたちが船員になりたいと思ってもらえるように」という。クルーズ事業への総投資額は3300億円に達する。これは、東京ディズニーシーに昨年6月オープンしたファンタジースプリングスの3200億円を上回るもので、オリエンタルランドがクルーズ事業にかける意気込みを示す。「クルーズは、供給が需要を喚起するビジネス」と述べ、自社のクルーズ進出がクルーズ市場のすそ野を広げることに自信を示した。

プリンセスクルーズの鈴木宇夢さんは27年シーズンから、ダイヤモンドプリンセスに加えてサファイアプリンスを日本発着クルーズに投入するとした。同社の日本発着クルーズの乗船客は現在も日本人50%、外国人50%の比率で特に北米市場での人気が高いという。「実際、日本への関心が非常に高く需要を取りこぼしています」という。2隻体制にすることで、日本市場に対しても「ショートクルーズを増やし現役層、ファミリー層の開拓、団体旅行の取り込みを図りたい」とし、乗船客を25年比の1・8倍まで引き上げる計画を持つ…

(トラベルニュースat 2025年11月10日号)

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