“石川モデル”誕生秘話 石旅協・北会長と全旅連・多田会長が対談(3) 旅行会社と宿で共存図る
オール観光で一つに
―石川県の話をお聞きしていると、旅行会社と旅館の信頼関係、絆の深さを実感するのですが、全国的にみると一部の旅館が直販売を強化し、旅行会社を排除しようという動きがあると耳にしたりするのですが、その点いかがでしょうか。
多田 これまでは石川県旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長の立場で話をしてきましたが、これからは全旅連の会長として話をさせていただきます。石川県民を対象にした県民割と、全国を視野に入れたGo Toトラベルキャンペーンを一緒に考えるわけにはいきません。
県民割はあくまでも県内の論理だけで通用しますが、全国となると旅行会社と取り引きをしていない宿泊施設も少なくありません。そこで旅行会社の取引だけでなく、直販売も視野に入れたキャンペーンにしてほしい、と旅館の若手が国土交通大臣に陳情しました。それがきっかけでキャンペーンに直販売が導入されたのは事実です。しかし旅行会社を排除するなんて誰も言っていません。
自民党総裁選菅義偉(現総理)候補出陣式で、民間代表の一人として応援演説を行った全旅連青年部の鈴木治彦部長が旅行会社批判を行ったというデマも流れました。それに対して私が「よくやった」と言ったとのことですが、私が話したのは「現首相の出陣式の場で応援演説ができたことは宿泊業界だけでなく、観光業界にとって大きな名誉であり、誉れなこと」だと、鈴木部長が現首相の応援演説という檜舞台に上がったことを称えただけです。鈴木部長もそういったことを話すわけがないし、話す必要もありません。この点だけは誤解がないようにしておきたい。
私自身、Go Toトラベルキャンペーンは国の事業なので、一部に片寄りがあってはならないと思っています。旅行会社、オンライントラベルエージェント、宿泊施設などそれぞれの枠の中で役割を果たすことが大事で、従来の枠を崩してはなりません。
旅行会社の皆さんにはこれまでもたいへんお世話になってきたし、これからも共存していきたいと思っています。それぞれの生態系を狂わせることをしてはいけません。
北 石川県の県内割には助けられた協会員も多いのですが、Go Toトラベルキャンペーンに関してはあまり恩恵を受けていないように思えます。今の多田さんの話でわかるように、旅行会社や旅館などが一つになって、オール観光という意識を持って取り組んでいけたらと思います。
行政と宿泊業と旅行業の3つがいい信頼関係を構築するには、どうすればいいのかといった声をよく耳にします。全国レベルではむずかしいのかもしれませんが、各府県の旅行業と宿泊業は地域差はあるものの、今回の石川モデルを継続することで、全国の見本になれるよう今後も努力していきたいですね。
(トラベルニュースat 21年1月25日号)
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