平日・閑散期に特化し事業 ゆこゆこ・徳田和嘉子社長に聞く(1) 宿経営サポートが主軸
温泉宿泊施設の電話予約サービスやマーケティング支援事業を実施する株式会社ゆこゆこ(本社・東京都中央区)。約100万部を年6回発行している宿泊情報誌「ゆこゆこ」(以下、会員誌)に、宿泊施設の広告を無料で掲載し、実際に利用があった場合にのみ宿泊料に対する手数料が発生する「完全成果報酬型モデル」という独自の営業戦略を展開。宿泊施設の経営支援、平日・閑散期の地域振興、都市部からの人材派遣など幅広い事業にも取り組んでいる。2021年から社長を務める徳田和嘉子社長に現況を聞いた。
個人旅行志向のシニア
―ゆこゆこは徳田さんが社長に就任してから、これまでとは違う会社になったという声を宿泊施設から聞きます。何が変わったのでしょうか。
宿泊施設は、利益からキャッシュフローを出して、その中で借り入れを行い、ハードを少しずつ直していくというサイクルを続けていくことが鍵だと思っています。その宿泊施設の経営を安定させるお手伝いをすることが我々の大前提です。
―広告掲載は無料だが送客手数料が高率で、ゆこゆこ=高い手数料というイメージがありました。今のお話を聞いていると創業時の集客を軸としたビジネスモデルから転換を図られたということなのですか。
確かに平日の集客に苦戦する宿泊施設に対して、当社が仕入れた新聞広告を用いて成果報酬型で集客するところから、ゆこゆこは始まりました。その後、新聞広告経由で予約されたお客様に対して会員誌を発行し、コンタクトセンターを稼働させました。シニアを中心とした平日集客することで、宿泊施設の経営サポートをさせていただくことが主軸になっています。
―具体的な経営サポートを教えてください。
宿泊施設の方とお会いする時は当社が持つデータを元にして、当社をお使いいただくとどれくらいの営業利益が出るかシミュレーションした資料をお持ちします。利益が出ず、お役に立てそうでないところへはお話をお持ちしませんし、当社を本命にしてはいけませんと最初にハッキリと申しあげます。最初に考えなくてはいけないのはOTAや自施設でいかに土日曜日の客室を埋めるか。その次にリアルエージェントを使って平日を埋め、それでもなお客室が残り、損益分岐点を越えているのであれば当社をお使いくださいという流れでお話ししています。
―ゆこゆこの特徴を教えてください。
850万人いる会員はアクティブシニアが中心で、平日に旅行ができる時間と行動力、消費力を持った人たちです。会員へ宿泊情報誌「ゆこゆこ」を隔月で年6回、1回当たり最大100万部発行し、年間送客数は約233万人泊になります。
会員の属性として、個人旅行を志向するシニア層が8割を占め、しかもその9割が平日に旅行するという他の旅行会社では獲得しにくい顧客になっています。4カ所あるコンタクトセンターでは、全国のゆこゆこの営業担当者が宿泊施設に直接赴き確認した階段などの段数やエレベーターの有無、段差の少ない和洋室など、シニア層の不安を解消する情報をお届けする電話案内を行っています。
このほかにもコンタクトセンターのオペレーターがシニア層への発言や抑揚、声の高さ、スピードなどが適正であるかのチェックも行い、通話対応に日々磨きをかけています。
そうした対応の成果もあって総予約数の8割以上が会員誌の力で予約獲得に至っています。ウェブのみでの予約は全体の12%です。
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