世界的観光強国へ 中国国家観光局長が語る発展への道のり
中国国家観光局(李金早局長)は2011年から、5月19日を観光施設の入場料が割引になる「中国旅行デー(中国旅遊日)」として制定。2017年の中国旅行デーを迎えた際、李局長は今後の中国の観光の取り組みに関して以下のように話した。
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我が国は今、大衆観光時代に突入しつつあります。これまでの観光旅行は一部の人々の嗜好品でした。今では一般大衆の日常的な消費行動へと発展し、中国国民にとって日常生活の一部となっています。
党中央委員会、国務院は全域観光の発展を強く重視し、観光業を中国国民経済における戦略的基幹産業と位置づけました。観光業は幸福志向、健康志向、文明志向型産業であり〝五大幸福産業〟のなかで最大の産業といえるでしょう。
習近平総書記は観光の発展および観光業務について以下の一連の指示を出しました。
【その1】 観光とは〝修身養性〟への道です。中華民族は古くより、旅と読書を結びつけ〝万巻の書を読み、万里の道を行く〟という考えを尊重してきました。旅をすることが、より一層人々の視野を広げ知識を深め、そして〝修身養性〟への道を開くということを体現しています。唐詩、宋詞、元曲にある多くの名作も、旅の途中で生まれたものです。
【その2】 観光とは国民の生活水準向上を示す重要な指標です。昨年我が国の国内旅行者数は延べ44.4億人、海外旅行者数は延べ1.22億人、国民1人当たりの平均旅行回数は3.4回にのぼり、今後5年間で海外旅行者数は延べ7億人に達すると予想されています。旅行は新時代を生きる人類の物質的欲求、精神的欲求における主要構成要素の1つです。
【その3】 観光とは総合産業であり、経済社会発展をけん引する大きなエネルギーです。16年、我が国における観光産業の国民経済に対する総合的貢献度は11%に達し、就業への貢献度は10%以上となりました。中国全体における観光産業の実質投資額は前年同期比29%増の1万2997億人民元となり、引き続きマクロ経済の先陣を切っていくことでしょう。我々は産業に対する意識を固めるなかで観光+農業、工業、交通、スポーツ、衛生、健康、科学技術、航空など15の分野を通じて、観光を様々な関連企業と融合させ、新製品、新業態を築いていかなければなりません。
【その4】 全域観光の発展への道は正しいものであり、これからも前へ進み続けなければなりません。全域観光の盛り上がりは中国全土で見られ、すでに22の省、自治区、直轄市において観光総合管理体制の改革が大いに進められています。中国各地で観光発展委員会が設置され、観光警察、観光巡回法廷および商工観光支局といった観光に関する総合的な法執行機関もすでに設立されています。
トイレ革命は現在、観光客向けの取り組みから社会全体での革命へと拡大しています。現在までに中国全体で計5万916カ所のトイレが新設、あるいは増改築されており、トイレ革命3年計画で89.33%を占めています。
また第13次五カ年計画の期間で、観光を通じて全体の約17%を占める全国約1200万人の貧困層の脱貧困を目標に掲げています。観光による富民効果は著しく、15年を例にとると中国農村部全体での観光客受入人数は延べで約20億人、旅行消費額は総額1兆円に達し、農村住民に対し、1千万人もの雇用の場を提供しています。
【その5】 観光とは文明伝播、文化交流、友好促進の架け橋です。歴史文化遺産を存分に活かすなかで、シルクロードの特色ある旅行商品を開発し、資産保護を行わなければなりません。
習近平総書記は「一帯一路」を平和、繁栄、開放、刷新、文明の道であることを訴えています。一帯一路戦略において観光は大いに力を発揮できるでしょうし、また発揮しなければなりません。
シルクロードは全世界の80%にも及ぶ世界遺産が集結し、60カ国44億人以上の人口が含まれます。世界で最も魅力あふれる観光資源が集まる道であるとともに、最も活力と潜在力を秘めた観光ゴールデンルートであるといえます。
我々は今まさに粗放型観光大国から世界的観光強国への発展の道のりにいます。世界的観光強国への道のりは壮大かつ偉大なものです。しかしその過程には幸福と苦難が併存し、栄光と理想、挑戦とチャンス、文明と悪習、法治と侵害、様々なものが常に我が国の観光業や旅人に影響を与えています。
我々は国民のための観光という志、産業報国・職業奉仕の理念、主導的な態度、広い心をもって全域観光の発展を促し、観光産業、観光投資、〝観光+〟モデル、観光による脱貧困および豊民政策、観光外交、トイレ革命、礼儀正しい観光ムードづくりを推し進めていかなければなりません。そして幅広い国民、国内外の観光客がより安全、便利、快適に観光できる環境を提供し、さらに素晴らしく、忘れがたい旅行体験をしてもらうことが我々の願いです。皆さまの豊かで幸せあふれる生活のために、これからも尽くしてまいります。
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