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【観光業界リーダー年頭所感】国土交通省近畿運輸局 局長 野澤和行 氏

令和3年の年頭にあたり、謹んでごあいさつを申しあげます。

昨年は新型コロナウイルス感染症との闘いの一年となりました。大阪・関西万博のプロデューサーの方の言葉を借りれば「“移動”が経済を回したり新しい文化を生んだり、すごく人間社会の価値を生み出していたと改めて感じた」一年となりました。残念ながら、新型コロナウイルス感染症は今なお、我が国および世界で感染の拡大を続けています。犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、今なお感染症と闘っておられる方々の一日も早い回復をお祈りいたします。

また、コロナ禍の下、人の移動が止まるという戦後最大の危機に直面し交通、観光などの事業経営に深刻な影響をもたらしました。このような中、史上初めてとなる緊急事態宣言が発出されましたが公共交通、物流、宿泊、自動車整備などに関しては社会の安定を維持するために不可欠なものとして、その業務の継続が求められました。こうした皆様の取り組みとご貢献に対し、この場をお借りしまして深く敬意を表します。

本稿をお読みの皆様の多くは、たいへん厳しい経営環境にあると思いますが、雇用調整助成金、無利子・無担保融資など政府による支援などを最大限にご活用の上、今を乗り越えていただきたいと存じます。

新年にあたり、運輸・観光行政に関し、近畿運輸局として「新型コロナウイルス感染症対策」「観光立国に向けての新たなチャレンジ」「安全・安心の確保や環境・バリアフリー対策の実施」「公共交通の整備・維持確保」の4つの柱を中心に進めてまいります。

新型コロナウイルス感染症対策はこれまでも、政府として業種横断的に雇用調整助成金、持続化給付金、金融機関を通じた実質無利子となる資金繰り支援などを実施してきたところです。国土交通省としても補正予算を活用したGo Toトラベル事業や感染防止対策および実証運行に対する補助、各種法令の弾力的運用などを通じた支援を行ってまいりました。さらに地方創生臨時交付金が、公共交通や観光への支援に活用されるよう、運輸局からも地方自治体に様々な場面で要請を行ってまいりました。加えて昨年12月に、新たな経済対策「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」が策定され、本年度の第三次補正予算及び来年度予算を通じて具体化されることとなります。

政府としての業種横断的な支援は、雇用調整助成金の特例措置等は現行措置を本年2月末まで延長のうえ、3月以降段階的に縮減し、5−6月にリーマンショック時並みの特例とすることを基本の想定としつつ、感染状況や雇用情勢を踏まえ柔軟に対応することとされました。資金繰り支援について、民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資は3月まで実施し、日本政策金融公庫などによる実質無利子・無担保融資は感染状況や資金繰りの状況を踏まえ、当面来年前半まで継続するとともに、中小・小規模事業者などの経営改善や業態転換などに伴う資金繰りを支援することとされました。

国土交通省としての支援は経済対策において厳しい経営環境に置かれている地域公共交通事業者の活性化や事業の継続性を確保するため、高性能フィルタを有する空気清浄機の導入など新技術の活用や観光事業者との連携などを通じた収支の改善を図る取り組みなどに集中的な支援を行うこととされました。地方創生臨時交付金についても拡充されました(1・5兆円)。近畿運輸局としても事業者団体と連携しながら、その公共交通などの支援への活用に関する地方自治体への要請活動を継続してまいります。なお12月末とされていたタクシーに関する臨時休車の取扱については年度末まで延長しました。

公共交通の安全性に関する利用者への周知については、公共交通を利用した際の感染リスクを恐れ、外出を控えたり、マイカーを選択されている方も多いのではないかと考えております。そこで、近畿運輸局ではホームページ上で事業者の感染症予防対策の取り組みを紹介しています。昨年10月には「公共交通機関のコロナ感染防止対策セミナー」を開催し、感染症の専門家の講演や、公共交通事業者の感染症予防に対する取り組みについて発表していただきました。このような、公共交通の安全性に関し、利用者へ直接訴えかける取り組みについては継続して行ってまいります。

観光立国に向けての新たなチャレンジとしては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、我が国を含む各国において海外渡航の制限や外出禁止措置が取られたことなどから昨年10月までの訪日外国人旅行者数は対前年同期比15%と大幅に減少しました。現時点で観光目的での入国再開の時期はまだ見通せない状況下ではありますが、政府としては2030年に訪日外国人旅行者数を6千万人とする目標を堅持しており、そのために近畿運輸局ではコロナ禍の下、さまざまな取り組みを行っています。

Go Toトラベル事業は、参加する観光関連事業者と旅行者の双方において、互いに着実に感染症拡大防止策を講じることを求めており、「安全で安心な新しい旅のスタイル」を普及・定着させることを目的としたものであります。昨年11月15日までの利用実績で、少なくとも約5260万人泊のご利用があり、割引支援額は少なくとも約3080億円となりました。地域共通クーポンの取扱店舗数は35万店舗を超えるなど、宿泊業のほか地場のお土産店、飲食店、観光施設などまで効果が及ぶような地域経済活性化に資する事業となっています。しかしながら、感染拡大の影響を受け、昨年末12月28日から本年1月11日までの間、Go Toトラベル事業は全国一律一時停止となりました。これを受け、年末年始を控えた観光関連事業者向けに、当局を含む地方運輸局では特別相談窓口を設置いたしましたのでご活用願います。今後のスケジュールについては、経済対策では例えば中小事業者や被災地など観光需要の回復が遅れている事業者・地域へ配慮するとともに、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度を段階的に見直しながら延長し、本年6月末までとすることを基本の想定としつつ、感染状況を踏まえ柔軟に対応することになっています。

訪日外国人旅行者数を6千万人とする目標の下では、外国人目線でみて、埋もれている観光資源の発掘や磨き上げに力を入れていく必要があります。訪日外国人旅行者が蒸発した今こそ、準備期間と捉え、関係者が一丸となって取り組む必要があると考えます。そこで、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)などが観光イベント・観光資源をより安全で集客力の高いものへと磨き上げる取り組みに対する支援をしています。近畿地区では、ワーケーションをテーマとしたビジネス層の誘客に向けた取り組み(和歌山県白浜町など)やユニークベニューとして茶畑を活用した取り組み(京都府南山城村)など88件が選定され実施されています。

昨年12月に全閣僚で構成する観光戦略実行推進会議において「感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン」が策定されました。その柱は次のとおりであり、第三次補正予算及び令和3年度予算で具体化が図られます。感染拡大防止策の徹底とGo Toトラベル事業の延長等▽国の支援によるホテル、旅館、観光街等の再生▽国内外の観光客を惹きつける滞在コンテンツの充実▽観光地等の受入環境整備(多言語化、Wi−Fi整備等)▽国内外の感染状況等を見極めた上でのインバウンドの段階的復活

関西においては22年のワールドマスターズゲームズ、25年に開催される国際博覧会(大阪・関西万博)など国際的な大型イベントが開催されます。これら国際イベントを契機として、関西に世界中からの注目と人が集まることを期待しています。近畿運輸局としてはこれらのイベントによる集客効果を戦略的に活用し観光再生の契機とし関西の発展に寄与してまいりたいと考えています。

以上、新しい年を迎え、所信を申し述べました。まずは新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束と、大きな影響を受けた皆様の生活や経済活動を復活させるべく、本年も全力を挙げて各種取り組みを進めてまいります。さらに、大阪・関西万博の開催に向けた準備への支援や交通・観光行政を通じ関西の発展と、皆様の豊かで快適な生活の実現に貢献してまいりたいと考えています。

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