【観光業界リーダー年頭所感】公益財団法人関西・大阪21世紀協会 理事長 﨑元利樹 氏
昨年7月に理事長に就任しました。当協会は大阪の文化興隆を目指す団体として約40年前に設立されましたが、時代の経過とともに事業内容も変遷を遂げています。
6年前、江戸期から明治にかけ活躍した「北前船」の寄港地が広域で連携して各地の文化と人々の交流拡大を目指す「北前船寄港地フォーラム」を大阪で開催しました。そのご縁で、フォーラムを司る北前船交流拡大機構と連携して観光庁主管の事業のお手伝いをしており、目下3件の案件に関わっています。この事業はコロナ禍の下での観光のあり方を探るものであり、感染症の収束後を見据えた実証実験と位置付けています。感染予防策として三密を避けることが重要ですが、この流れを経験することでこれからの旅行形態の方向性の一つは少人数化し、より質の高い中身の濃いツアーのニーズが高まると想定しています。
文化交流団体の視線で見ると各地の文化遺産、例えばある地方に古来より伝わる伝統舞踊があればその歴史に触れ、その意味するところを学んで改めて鑑賞すればその舞踊だけに留まらずその地の印象も違ってきます。
かつて一大経済圏を創りあげた「北前船」はモノのほかに文化の交流も促しました。日本海側の祭りには山車を曳くものが多く、起源は京都の祇園祭といわれます。民謡の一つ「ハイヤ節」は酒盛り唄ですが、九州から東北の日本海側の各地で今もその土地の調子で謡われています。この伝播には北前船と船頭衆も少なからず関わったようです。そんな歴史に触れるだけで、一つの文化遺産が壮大なロマンの世界へと導いてくれるのです。
「食」も文化です。素材の鮮度は産地に勝るものはありません。地元の食材を地元で賞味する。「地産地消」は最高のぜいたくともいえます。
このように見てくると旅の付加価値を上げるには文化の力も大きく貢献することが分かります。コロナ禍が収束し文化による新たな「たび」の形態が定着していくことを心から望んでいます。
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