【観光業界リーダー年頭所感】JTB協定旅館ホテル連盟 会長 宮﨑光彦 氏
新春を寿ぎ謹んでお慶びを申しあげます。
コロナ禍から脱した今年は、変革を遂げてきた観光産業が「復活から成長へ」と大きく飛躍する、まさに真価が問われる大切な年です。
当ホ連は、JTBとともに宿泊増売を目的とする経済団体として、「共創」と「コミュニケーション強化」という2つのキーワードのもと様々な活動を展開しています。
昨年12月には、提供客室の相互販売期間や年間固定料金タリフの廃止により、双方にとって「売れるときに売る」ためのフレキシブルな仕組み「国内客室管理ツール」の稼働が実現しました。
JTBの各販売チャネルのリードタイムに合わせた料金リバイスを迅速かつ柔軟に対応できる画期的なもので、“令和の大改革”と言っても過言ではありません。JTBグループのご英断と実行力、ご尽力されてきた大西前会長はじめ関係者の皆様に心から敬意と感謝の意を表します。
従来売りにくかった特色のある部屋や品質の高い高額商品をタイムリーに提供できるので、増返室が簡便になる新機能をフル活用し、提供客室の維持・拡大や相互の緊密な取り組みにより宿泊販売の最大化を目指していきます。
社会や生活様式の変容により、これからは様々なマーケットに正対し、そのニーズに応えるだけでなく、新しい需要を創出する取り組みが求められます。地域の魅力をどう高めるかも重要な課題です。
旅ホ連では「送客から創客へ」をテーマに、着地コンテンツの開発を“ならではの価値”創造の一環として支部とJTB地域戦略、地域DX事業との協働で取り組んできました。
昨年、日本の旬アドベンチャーツーリズムを全国で展開したように「そこに何があるか」ではなく、「そこで何ができるのか」の貴重な経験価値をお客様に提供できるよう、魅力ある宿づくり、地域づくりに努めてまいります。
これら共創の主体となるのは、仕入れ機能を持つJTBの47DMC支店と連支部会員です。地域密着とネットワーク化、行政との連携協力を強化し、インバウンドやサステナブルツーリズムも推進しながら、一体となって稼げる地域への転換をサポートします。
それには、コロナ禍で、やや希薄となった会員とJTB社員とのリアルな関係性についても再構築を図り、本音の議論を今後も重ねていくことを大切にしたいと思います。
一方、宿泊産業の人手不足対策は喫緊の課題で、デジタル化、労働環境の整備や外国人材の活用など業界全体で労働力確保、定着に取り組んでいかなければなりません。そのためにも商品力の高付加価値化による単価アップと生産性向上を図り、報酬や休暇など待遇改善につながる課題解決のための事業を推進してまいります。
また、旅館経営人財育成アカデミーの拡充を図り、経営者のみならず実務担当者も対象に、時代に即したサービスの向上と従業員のモチベーションアップを図ります。
そして、2024年度の宿泊販売目標達成のため、お客様、JTB、旅ホ連会員、そして地域がまさに“四方良し”となるよう、令和の大改革を断行されたJTBとの共創で新たな旅行需要の創出に取り組んでまいります。
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