【観光業界リーダー年頭所感】国土交通省観光庁 長官 村田茂樹 氏
明けましておめでとうございます。
2026年の新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
人口減少が進む我が国にとって、観光産業は今や我が国第2位の輸出産業に急成長しており、地域の活性化・日本経済の発展に不可欠な産業となっております。昨年は、堅調な訪日需要と航空便の回復等に加え、持続可能な観光立国の実現に向けて官民一体となって取り組んだ結果、訪日外国人旅行者数や消費額は好調な状況です。
具体的には、2025年の訪日外国人旅行者数は、11月末の時点で既に暦年で過去最多となることが確定しており、初めて4000万人を超える勢いで伸びています。また、訪日外国人旅行消費額についても、2025年1―9月期の累計は約6・9兆円となり、訪日者数・消費額ともに力強い成長軌道を描いたものと受け止めております。さらに、日本人の国内旅行消費額についても2025年1―9月期の累計は約20・4兆円となり、順調に推移しました。
一方で、インバウンドの観光客が都市部を中心とした一部地域に偏在する傾向も見られるほか、観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響などへの懸念も生じている状況です。
2026年3月には次期観光立国推進基本計画を策定する方向で検討を進めておりますが、観光客の集中により生活の質が低下しているといった声が一部にある現状を踏まえ、観光客の受入れと住民生活の質の確保との両立のための施策により重点を置くべきであると考えております。また、地方誘客の促進のための交通ネットワークの基盤強化や観光まちづくりなどとも相まって、観光が地域住民に裨益していく姿、観光地が持続的に発展していく姿を国民の皆様に示していくべきであると考えております。そのような考えの下、次期観光立国推進基本計画では、3つの施策の柱を設定する方向で検討を進めております。
第1に「インバウンドの受入れと住民生活の質の確保との両立」です。インバウンドの受入れと住民生活の質の両立を図るために、局所的・地域的に生じているオーバーツーリズムへの効果的な対策の強化を図ってまいります。具体的には、スマートゴミ箱等の設置促進や手ぶら観光の推進、需要に応じた入域管理等を図ってまいります。また、地方誘客を進めるための広域的な体制、観光コンテンツ等の整備、そしてリピーターの拡大、未訪日層等も含めた様々な国・地域からの誘客を強化してまいります。更に、高い消費効果や参加者の長期滞在などの経済効果をもたらすMICEの地方誘致・開催も促進してまいります。併せて、地方空港、クルーズ船、空港アクセス、国内航空、新幹線利用等の交通ネットワークの機能の強化にも強力に取り組んでまいります。
第2に、「国内交流・アウトバウンドの拡大」です。国内旅行の促進に向けて、ワーケーション・ラーケーションの促進やポジティブ・オフ運動を通じた休暇の分散・平準化の促進、第2のふるさとづくりプロジェクトを通じた新たな交流市場の開拓に取り組んでまいります。また、海外旅行の促進に向けて、海外教育旅行を通じた若者のアウトバウンド促進や、地方空港を活用した双方向交流の拡大に取り組んでまいります。
第3に、「観光地・観光産業の強靱化」です。観光産業における生産性向上のための観光DXの推進や、業務の効率化・省力化に資する設備投資への支援、民泊(住宅宿泊事業法)の適切な運営等の健全な競争環境の整備、ユニバーサルツーリズムなど多様なニーズへの対応に取り組んでまいります。
また、こうした観光施策をより充実・強化するための財源に充てるため、国際観光旅客税の拡充をしていくことが、政府の税制改正の大綱に盛り込まれたところです。
観光庁としましては、本年を更なる高みを目指す1年と考え、今後5年間を見据えた次期観光立国推進基本計画を策定することはもちろん、2030年訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円等の政府目標の達成、そして、観光によって日本の魅力・活力が持続的に継承・発展されていく姿を国民一人ひとりが実感でき、観光によって我が国が豊かになっていくことこそがまさに観光立国である、との気概のもと、官民一体・関係省庁一丸となって取組を進めてまいります。
結びにあたり観光関係の皆様におかれましては益々のご発展を心より祈念申し上げます。また、国民の皆様におかれましても安全・安心で有意義に旅行をお楽しみいただけるよう観光政策に全力を尽くして参りますので今後とも一層のお力添えを賜りますようお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。

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