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【観光業界リーダー年頭所感】全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 会長 井上善博 氏

2026年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年、訪日外国人旅行者数は過去最高の水準に達し、宿泊観光業界には確かな追い風が吹きました。一方で、科学的根拠のない噂の流布や日中関係の不安定化に加え、燃料費、食材費等の高騰など、事業環境を取り巻く不透明感も依然として残っております。さらに、インバウンド需要の大半が東京、大阪、京都といった大都市圏に集中し、大阪・関西万博も地方周遊の促進には十分に結びつかず、多くの地域ではいまだその恩恵を十分に享受できていないのが現状です。

今こそ我々は、この好機を地域が自らの「稼ぐ力」を取り戻す転換点とするとともに、宿泊観光産業が持続的に収益を生み出せるよう構造改革を着実に進めていかねばなりません。

こうした認識のもと、全旅連では昨年、組織体制を抜本的に見直し、未来を見据えた8つの専門部会を新たに編成いたしました。全国から志と実力を兼ね備えた人材を結集し、業界の課題解決と次なる成長戦略をけん引する体制を整えたところです。現在、各部会では、宿文化の普及啓発・業界の地位向上、外国人労働者の受入拡大等による人手不足対策、DX化の推進、キャンセル料やノーショウ問題への対応、カスタマーハラスメント対策、頻発する自然災害への備えなど、業界が直面する幅広い課題に対し精力的な議論を進めております。本年中には、その成果を一定お示しできるものと考えております。

また、地方創生が国家的な課題となる中、地域経営の必要性が謳われています。私は、宿泊観光事業者こそが地域経営の中心を担うべき存在であると考えております。宿泊観光事業者は、創業以来その地に根を下ろし、「宿は地域のショーケース」と言われるほど地域の食、文化、美意識等を宿に体現してきました。取引先も地域内に広く分布し地域経済を循環させる重要な役割を果たしています。近年多くの宿が地域づくりに主体的に関与し始めており、今後はこうした動きをさらに力強い潮流へと育てていきたいと考えております。

加えて、政・官・民が一丸となり「観光立国・日本」を実現するためには、宿泊観光業界から国会議員を誕生させるとともに、観光庁を「庁」から「省」に発展させることも不可欠です。その機運の醸成にも継続して努めてまいります。また、能登半島地震については、世間の関心が薄れつつありますが、多くの宿泊施設が未だ本格再開に至っておらず、業界全体で支援を続けていかなければなりません。

最後に、日本の宿は単なる「寝る場所」ではなく、その土地の物語を滞在体験として提供する文化を育んできました。我々はその文化を守り、次世代に継承していく責務があります。そのためにも、一つひとつの宿が最高のおもてなしを尽くし、お客様に宿と地域を深く愛していただくことが何より重要です。その先に、宿泊観光産業の明るい未来が必ず開けると信じております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年頭所感

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