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講釈師が語る一休さんの二十六 雑煮で問答、白目鯛にもの申す

「どうも困りますがな、それよりも雑煮はいかがで御座います」「雑煮かこれは結構じゃな。頂戴いたそうかな」「では、禅師、大箸と申しまして身上が太くなるようにと縁起を担いだ、誠に目出度い箸でございます」「すると何かいな。これは半ばが太くて、先が細うなっておりますが、という事は末は身上が段々細うなるんじゃな」「やめとくんなはれ。さぁ冷めますんでな、どうぞお召し上がりねがいます。美味しゅうございますか?え?どないしました?」

「歯が抜けた、と思ったら歯でなかった。四匁三分の銀玉が入っておった」「ええ!これはおめでとうございます。手前どもの店では、年年についた餅の中へそのお金を入れておいて、誰か一人その餅に食い当たったものは金持ちになるというのでございますが、一休禅師が当たりましたか?これは一休禅師当年、金持ちになりますな」「アホなことをいうな。餅の中へ金を入れて置くのはいかん」「何でまた」「よう考えてみなはれ。金の中から餅が出て来たら、金持ちになるけども、餅の中から金が出て来たら、この身代は持ちかねる。」「けったいなこと言いなはんな」

「それにしても桔梗屋さん、其処にあるのはなんじゃな」「これは白目鯛と申しまして、二十日までこうして飾って置きます」「すると見るだけのことか?」「へぇ左様で、これはまず一角の頭になるようにと、つまり縁起を担いだもんで、二十日までは置きますが二十日になるとこれを焼いて家中で骨まで食べますので」「と言うことはこれはさらし首、獄門じゃ。それが二十日になって骨上げをする」「一休禅師、堪忍しとくんなはれ。ワシは慣れておりますが家内や店の者が変に思いますので、この通りで」「手を合わせたな、其処に数珠をかけると亡者のようだ」「ええ加減にしなはれ。今日は他と違って正月の元日で御座います。どうかそればかりは仰いません様に」…

(旭堂南龍=講談師)

(トラベルニュースat 2022年7月10日号)

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