ポイント還元事業 キャッシュレスにどう向き合う(1) 旅館ホテル、登録の是非が二分
10月1日から消費税が10%に引き上げられるのに伴い、2020年6月までの期間限定で「キャッシュレス・ポイント還元事業」が始まる。消費者が、還元事業に参画している中小事業者で、クレジットカードやQRコードなどキャッシュレス決済をすると、後日、現金やポイントで5%が還元される。還元の対象事業者になるには、経産省のキャッシュレス決済事業者に登録する必要があるが、事業者側にも決済に必要な端末の導入費用や決済手数料の3分の1を国が負担してくれるなどのメリットがある。
メリット、デメリットを図りかねる
キャッシュレス・消費者ポイント還元事業は、消費意欲の下支えとキャッシュレス社会の推進という主に2つの狙いを持った制度。9月6日までに52万軒が登録申請を行っている。経産省では、引き続き2020年4月末まで、加盟店の登録申請を受け付けている。
中小企業がほとんどの旅館ホテルにとっては、初めてキャッシュレス決済に取り組むメリットが大きいように見えるが、還元事業者の登録を見送ったホテルもある。
都内のビジネスホテル経営者は「最近はクレジットカード決済が増え、加盟店手数料は年間で相当な額になります。あえてクレジットカードでの支払いに誘導する気にはなりません」と話す。
登録していないデメリットがあることにも疑問を持つ。「ポイント還元の有無で、宿泊先が選ばれるとは思えません」。
新潟県の旅館経営者数人に尋ねると、全員が登録を申請していた。理由は「これからはキャッシュレス時代、何より利用者のメリットになることだから」と声を揃えた。
スキー場のある温泉地で、冬期は宿泊客の多くを外国人旅行者が占める経営者からは「外国人にも還元されるのか」と尋ねられた。経産省の相談窓口に問い合わせると、外国人にも還元されるとの答え。ただ、登録後に送られてくる店頭ステッカーやポスターはすべて日本語。ポイント還元事業に、観光立国推進の視点は漏れているようだ。
(トラベルニュースat 19年9月25日号)
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