“原点”を深掘りする機会 第20回国内観光活性化フォーラム開催控える中島地元実行委員長に聞く
2026年2月11日の建国記念日に奈良県で開催される全国旅行業協会(ANTA)主催の「国内観光活性化フォーラムinなら」。日本最古の正史ともいわれる日本書記において日本建国の地と称された橿原を有する奈良県で、サブタイトル「~建国の地 奈良からふたたび」として第20回の節目を迎えるフォーラムだ。一過性のイベントではなくフォーラム開催を転機と捉え、地元実行委員長として奮闘するANTA奈良県支部の中島昭人支部長(サンキュー観光)に話を聞いた。
奈良開催の意義
―奈良開催の経緯を教えてください。
2023年に山形市で開かれたフォーラムで、ANTA近畿地方支部長連絡会の吉村実議長(当時)から「奈良、近畿で一度手を挙げてみませんか」と声をかけられたのがきっかけです。とはいっても奈良県支部は50数会員しかいない小規模な支部で、フォーラムを開催するなんて考えられませんでした。ところが、奈良県支部会員の間からも自然発生的に「奈良でフォーラムをやりましょう」という声があがり、役員を中心に開催の機運が高まりました。第19回開催地の公募で「大阪・関西万博開幕前にフォーラムを開催し、近畿を盛り上げよう」という意気込みでエントリーしましたが、東京と競った末に落選しました。ショックでした。その帰路、新幹線車内で悶々とした気持ちでいると、いろんな方から「素晴らしいプレゼンだった」との励ましのメッセージが届いたんです。奈良に戻ると、役員や会員が結果を聞くために待ってくれていて「このまま終わりたくない。もう一度やろう」と再挑戦を一緒に誓い合い、会員皆で目標を持って一致団結し、その中で何かレガシーを作っていこうとまとまりました。
―万博後の開催が決まり、どう感じましたか。
今思えば、万博後の盛り上がりを受けての開催で良かったと思っています。偶然にも26年のNHK大河ドラマは「豊臣兄弟!」に決まりました。奈良県の大和郡山城は秀吉の弟・秀長の居城で豊臣兄弟ゆかりの地です。8月には「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録が期待されています。そんな年にフォーラムを開催することに大きな意義があると捉えています。

全国から参加するANTA会員に
奈良に泊まってもらうのが大命題と話す中島さん
―どのようなフォーラムにする考えですか。
従来のフォーラムを否定するわけではないのですが、セレモニー的なものではなくて、奈良の地域性や本質的な価値を追求し「奈良を深掘りする」ことをイメージしています。それは、フォーラムの開催がゴールではないということ。開催が目的ではなく、次につなげるためのスタートであると認識しています。そのスタート地点に立つために、これまであまり力を入れてこなかった地域や行政との連携、地元の宿との信頼関係の構築など今後のビジネスモデル構築に必要な課題をクリアする。そのための一里塚が今回のフォーラムだという位置づけです…
(トラベルニュースat 2025年6月25日号)
- 持続可能な地域づくりに責任 全旅連・井上会長2期目への決意(25/06/11)
- AIで旅をデザイン 令和トラベル・森川AI推進リーダーに聞く(25/05/28)
- カルテルの疑いで警告 公取委、都内の大手ホテル15社に(25/05/14)
- 熊野本宮大社へ献湯 わかやま12湯推進協議会、年中行事として毎年実施(25/05/14)
- 観光業界の屋台骨支える 全旅連青年部、2期目の塚島体制スタート(2) 観光庁、厚労省、親会からエール(25/04/28)
- 観光業界の屋台骨支える 全旅連青年部、2期目の塚島体制スタート(1) 新役員で後半戦に臨む(25/04/28)
- 能登復興の応援誓う(2) 産品の購入や旅行商品化を検討(25/04/15)