万博機に西へ 西のゴールデンルートアライアンス
大阪以西の自治体らで構成する「西のゴールデンルートアライアンス」(高島宗一郎会長=福岡市長)が、現在開催中の大阪・関西万博を契機に“万博会場から西へ”観光客を呼び込もうと取り組みを本格化させている。2025年日本国際博覧会協会と連携して情報発信力の強化を図るなど施策を展開。会期後半を迎える万博開催効果の波及の最大化を図りたい考えだ。
関西~九州へテーマルート開発
西のゴールデンルートアライアンスは、西日本や九州へインバウンドを誘致しようと2024年5月に正式に設立。東京―大阪間のいわゆるゴールデンルートに対し、西日本や九州の魅力をたどるコースや商品を開発し新しいルートとして周知を図ろうと取り組みを進めている。大阪以西の府県、市など29自治体、DMO、JR3社、ANA、JALなどが参画し官民一体の体制を確立している。
7月11日には大阪・関西万博会場で記者会見を開催。高島会長のほか、アライアンス副会長を務める大西秀人・高松市長、野志克仁・松山市長、武内和久・北九州市長が出席し、西のゴールデンルートアライアンス各地への来訪を呼びかけた。
アライアンスでは、23年の欧米豪からの宿泊客の79・3%がゴールデンルートに宿泊し、大阪から西には5・8%にとどまる状況を平準化したいという意向を持つ。今回の万博開催はまたとない好機であり、開催効果を全国に波及させたい博覧会協会とも連携しながら施策を展開している。
高島会長は「今回の万博は日本全体が会場と捉えており、来場者に日本全体をめぐってもらうことが課題。万博という好機に、まだ知られていない西日本の魅力、コンテンツをつなぎ、ストーリーにしてルートを提案することで、西のゴールデンルートの魅力、挑戦を発信したい」と強調した。

西のゴールデンルートの魅力を
アピールする高島会長(中央)ら
推進策の一番手はモデルルートの策定・発信。「混雑を避けた自然豊かな観光」「自然と人が共生した風景美」「日本の歴史や文化の原風景」を西のゴールデンルートの魅力と定め、新幹線による関西―九州横断、フェリーによる瀬戸内海横断、山陰からめぐる関西―山陰―九州横断という3本のロングルートを設定した。加えて島旅や平和、伝統伎、自然美、景観、武家文化、港町と島文化、食文化の7本のショートルートでテーマ性をもった旅も提案している。
専用のウェブサイトでは、これらモデルルートや各地の観光スポット、140を超えるアクティビティなど豊富な情報を掲載。各OTAや交通事業者らとも連携し、宿泊や交通、アクティビティの予約へスムーズな誘導を促し、実際の旅に出かけられる仕組みを整えた。
博覧会協会の観光ポータルサイトでも発信。同サイトでは体験商品の予約から購入、決済までが可能で、日本各地の体験コンテンツやツアー、施設入場券などを掲載し販売している。西のゴールデンルート各地からは7月3日時点で全体の約6割を占める746件の商品が申請されており、万博を機に誘致を図る本気度がうかがえる格好だ…
(トラベルニュースat 2025年7月25日号)
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