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四字熟語で2020年の観光を占う(2) 経国祭民・動路拡幅

一極集中から拡大分散する20年

【経国祭民】は、経国済民(国を治め民を救うの意)に、「国」を挙げた橋爪さんの理由から。

今年最大のトピックは、ほとんどの選者も選んでいる通り、東京オリンピック・パラリンピックで間違いない。昨年のラグビーワールドカップの盛り上がりを経験し、今年も「私たちの日本国への想いがたかまる」(橋爪さん)ような一大祭事になることは想像に難くない。と同時に2020年は訪日外国人旅行者数4千万人の達成年と国が据えているようにターゲットイヤーとされている事例も少なくない。

こと観光面で橋爪さんは「インバウンド観光客の増加もあって、観光業が国家を支える基幹産業のひとつであるという共通認識が広まった」という前提のもと、2020年代は「『観光立国』の段階から、世界的な『観光大国』への道を歩みはじめます」とみる。

すでに「政府も外客誘致を目的とする高級ホテルの誘致促進や、スキーリゾートの設備更新に支援する方針を打ち出しました」と、橋爪さんは大国への施策を紹介する。

ただ「一方で主要な都市ではホテルの新規開業が続くなか、オーバーツーリズム問題が顕在化しています」とも指摘し、「20年は、日本国として観光産業をどう捉えるのか、転機の年になると思います」。

20年が転機になる年とするのは、他の選者も同様だ。

【動路拡幅】は、井村さんの「動」と池田さんの「拡」から。コト、モノの様々な動きが人の動きを大きく拡げていくのが2020年だろうと予測する。

井村さんは「国民は世界的な運『動』会に感『動』し、選手たちは躍『動』する。日本国中で移『動』が始まり、行『動』する人が増える」と今年の一字に「動」を選んだ理由を説明する。国内だけではない。「イギリスもEU離脱で新たなステージに移動し、日本は韓国との間で何らかの行動をとることになるでしょう。世界中で『動く』年になるのでは」。

クルーズ・オブ・ザ・イヤーの選考委員長も務める池田さんは、東アジアのクルーズマーケットを展望する。「アジアのクルーズ人口は400万人に達しましたが、中国マーケットは上海発着が頭打ちになり、南部のマーケットが元気よく拡大しています」。

その上で、日本マーケットについても「東京一極だったのが関西、九州、沖縄そして全国各地に拡散して力強く市場開拓が進んでいます」と、日本の市場が地方へと拡大している手応えを得る。それは「東京一極の『深さ』から、地方への『広がり』に転じて拡大・拡散が始まっているように思います」ということにほかならない。

今年は、羽田の発着枠拡大や那覇の第2滑走路の整備、新千歳空港のターミナル拡張などもあり、国内外の観光客が移動するパイプが拡大するのは間違いなさそうだ。

(トラベルニュースat 20年1月1日号)

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