Go Toとコロナの両立 日本旅館協会・浜野浩二会長に聞く(1) 「国民の心が萎縮」に懸念
赤羽一嘉国土交通大臣は9月1日の会見で、Go Toトラベルの利用者がスタートから1カ月間で約556万人泊あったと発表した。「足下堅調にきているのではないか」と述べたが、当初の目的である全国津々浦々まで観光需要を行き渡らせるまでには至っていない。今年6月、日本旅館協会(2500会員)の新会長に就任した浜野浩二氏(北海道札幌市・佳松御苑)に、Go Toトラベルの意義や新型コロナウイルス感染症防止への取り組みなどを聞いた。
「旅行につながらない」 地方を中心に厳しさ続く
−全国の会員旅館の現況はいかがですか。Go Toトラベルキャンペーンついての手応えを含め教えてください。
Go Toトラベルの実施は、国がコロナ対応を議論するなかで、収束後の地方経済振興策として、かなり早い段階で決まったものです。観光庁には相当な努力をしていただいただろうと思っています。一次補正予算のなかで、1兆円を超える巨額な予算を付けていただき、効果を全国津々浦々まで行きわたらせるのが命題です。これを事務局公募から時間のないなかで、7月22日にキャンペーンを開始するのは、大変な作業だったと思います。
全国的にコロナウイルス感染症が再び増え始めた時期と重なってしまったことで、開始の時期については様々な指摘がありますが、私としては夏休み前の7月にキャンペーンを始めることができてよかったと思っています。
残念なのはGo Toトラベル開始が決まって以降も、コロナ感染症についてマスコミが国民に恐怖感を与える報道に終始したことです。国民の心が委縮し、旅行につながらない状態が現在も続いています。お盆を中心に夏休みの航空機や新幹線の搭乗率や乗車率は、前年の4−6割程度と全国的によくない状況でした。特に北海道、東北、中四国、九州、沖縄はよくありません。
−北海道で旅館を経営されていますが、北海道の現状はいかがでしょう。
北海道への旅行者は航空機と新幹線利用がほとんどですから、先ほど申しあげたように、それぞれの利用率の低さが厳しさを物語っています。道が23憶円という他県と比べて規模の大きい「どうみん割」宿泊キャンペーンを実施しましたが、すでに使い切っている状況です。今、「どうみん割」第2弾の実施をお願いしているところです。
(トラベルニュースat 20年9月10日号)
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