観光業界の未来を紡ぐ 鈴木治彦vs星永重・全旅連青年部部長対談(1) 地域経済をリードする産業に
全国旅館ホテル生活衛生同業組合青年部(全旅連青年部)が2月17日に東京都内で開く全国大会を前に、現部長の鈴木治彦さん(岡山県奥津温泉・奥津荘)と第25代部長に就任予定の星永重さん(福島県会津湯野上温泉・藤龍館)が対談した。2人の話は、業界が厳しい環境に置かれる中にあって宿泊・観光業界の未来を紡いだ。
地域に人が来るようになれば地域は潤う
―難しい舵取りになった2年間だったと思いますが、どうでしたか。
鈴木 1年目は、東京オリンピックに合わせて「宿フェス」をやろうと思い、それに向けて動いていました。8年前、横山公大さん(第20代青年部長)の期で副部長だった時、公大さんが「旅館甲子園」を始めて、自分が部長になった時は違う形で旅館業界の地位向上につながるようなことをやりたいとずっと思っていました。
自分の言葉で自館の魅力を人に、お客様に、社会に伝えていく努力をもっとすべきだと考えていたことと、青年部世代が自分たちの力でこれだけできるんだという、自分のことを知る一つのきっかけにする事業として宿フェスをやりたかったんです。でも、思ったように進まないと感じながらの最初の1年目でした。
星 新しい期がスタートする出向者研修会では通常講演会を行うのですが、鈴木部長は県部長の意見を徹底的に聞く場にしたいと、宿フェスとは何ぞや、という話を県部長にしました。47都道府県のいいところを行政と一緒になって一番発信力のある場所で発信する。県部長はやったことがないことだし、行政の関りを想像すると、すごくたいへんだと思います。そこを分かってもらうように説明するのがたいへんでした。青年部に出向しているメンバーの中でも、同じイメージを近づけていく作業が苦しい部分でしたね。
僕たち青年部員は、地元地域の中でリーディング産業を担っているという話を治さん(鈴木部長、以下同じ)がよく言っていて、だから宿の地位を向上したいということになる。地域をけん引していく波及効果がめちゃめちゃ高いのが宿泊業ですし、地域に人が来るようになれば地域は潤う。それを体現したいというふうに治さんは思っていた。難しいことだとは思いますが、継いでいきたいですね。
鈴木 たいへんなことをやった先に得るものはすごく大きいと思う。行政や地域とのつながりが宿フェスをきっかけにより強固になっていくと想定して進めていました。
(トラベルニュースat 21年2月10日号)
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